温泉天国 (ごきげん文藝)
温泉天国 (ごきげん文藝) / 感想・レビュー
starbro
好きな作家が多く含まれているので、読みました。激寒の今の季節に最適な湯情をそそる温泉エッセイ・小説・漫画アンソロジーです。オススメは角田光代の『記憶-9800円×2-』、太宰治の『美少女』、田山花袋の『女の温泉』の3本です♪未体験の方は、是非、露天風呂付き客室(出来れば離れ)を恋人or新婚の配偶者or愛人とお試し下さい!エロ満載で最高に欲情(浴場?)します。私はもう大分遠ざかっていますが・・・
2018/01/26
nonpono
20代の頃、週末は東京の温泉に行くことに、はまっていた。ある種の小さな現実逃避なのか。「東京はどこを掘ったって温泉が出るのよ」(武田百合子)と書いてあるが、茶褐色の温泉を思い出した。わたしのアイコンの鹿の画像は、本書に出てくる今はなき浅草観音温泉で撮影した。懐かしい。本書には熱海や伊豆や丹沢など関東の温泉が出てきた。関西の別府、熊野、城崎など旅人として通り過ぎたが、温泉に入る余裕がなかった。若かったから観光地を制覇したかった。一度、温泉の露天風呂で日本酒をドラマみたいに飲んでみたいという野望はまだあるな。
2024/11/01
九月猫
「おいしい文藝」に続く新シリーズ「ごきげん文藝」第一弾。テーマが温泉のせいか、文豪と呼ばれる作家さんたちの作品の収録が既刊より多い、かな。その中にあって、印象に強く残るのは角田光代さんと漫画の松本英子さんの作品。どちらも母娘ふたり旅を描いていて、“おかん”って どこのおかんもこんななのかー!?と共感しつつ笑いつつ、私はこんな親孝行は出来ないなぁと凹みつつ。岡本綺堂の「温泉雑記」は抄録で綺堂らしい怪談話なのだけど、割愛された前半部分の方がこのアンソロジーには合っている気がして惜しい。
2018/04/21
あじ
定評のある食のアンソロジー「おいしい文藝」シリーズから、新しい路線として「ごきげん文藝」が誕生しました。長湯注意!休憩を挟みながら“ごきげん温泉”に浸かって下さい。装画は『死後くん』が担当。のほほんな雰囲気にぴったりです。
2018/01/23
ホークス
温泉エッセイ32篇。吉川英治の文章がなんとも言えず心地よい。のどかで清々しくて、軽妙な小説のよう。四谷シモンが種村季弘らと訪ねる東北の湯は、自由で愉快な気分が溢れている。同じ東北でも高村光太郎は、楽しげな言葉を並べていても謹厳そのもの。角田光代が亡き母親と行った最低の旅は、クスッとさせて泣かせる名編。引率役の交代に、親も子も過ぎ去った時間を思い知る。松本英子の「母と」は、まさにその漫画版。温泉に期待するものも、イメージもこの一世紀で大きく変わった。人それぞれの時代背景と本性を、温泉は優しく映し出す。
2020/04/23
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