須賀敦子エッセンス1 仲間たち、そして家族
須賀敦子エッセンス1 仲間たち、そして家族 / 感想・レビュー
ヘラジカ
恥ずかしながら須賀さんの文章は初読み。恐らく翻訳した小説も読んだことがないと思う。「須賀敦子の本棚」の刊行に先駆けて発売されていたので何の気なしに購入したが、思いも寄らず今年度ベスト級に感動した。エッセイという枠組みを飛び越えた名短篇・自伝文学の傑作だと思う。エッセンスや精華という言葉に相応しくどの著作も本当に素晴らしい。仲間と家族というカテゴリーも隣接していながら、明暗分かれていてなんとも味わい深い。距離感が近い分華やかで良い思い出だけとは言えない家族の記憶も、それだけに一層美しく感じる。
2018/05/12
OHNO Hiroshi
まずは文庫本の全集、そして単行本の全集、両方を購入して、読んだので、最低2回は読んでいる作品ばかり。「ガッティの背中」と夫のことを書いた「アスフォデロの野をわたって」やはり「ガッティ」は興味深い人物だわ。きっと敦子のことが好きなのに、親友に遠慮して敦子を諦めたんだね。歳をとって、子供のような彼を見て、敦子は切なくなる。
2018/06/12
ムーミン2号
実は須賀さんの作品を読むのは初めて。巻頭の「ガッティの背中」からついつい引き込まれる。この巻は「仲間たち、そして家族」であるが、前半はミラノの「コルシア書店」に集う仲間のことが、後半は父・母、夫のベッピーノ、ベッピーノの家族のことなどが綴られる。1960年にベッピーノと結婚した須賀さんだが、わずか7年後には死別してしまう。その予感のような慄きを描いた「アスフォデロの野をわたって」も印象的。まだまだ十分に味わえていないが、少しずつ読んでいきたい。
2018/05/26
umico
須賀さんの清く潔くフェアな文章が好きだ。「いちめんの白い雪景色。そのなかで、黒い、イッセイ・ミヤケふうの…」あたりで、ジャコメッリのあの写真だ!とピンときて鳥肌がたった。あのジャコメッリの写真に写っている人が友人…改めて須賀さん偉大。大好きなジャコメッリの写真にストーリーが増えてもっと好きになった。
2023/12/17
あきあかね
コップに少しずつ注がれる清水がある時あふれ落ちるように、人はものを書きたくなるのかもしれない。「その時」がいつ訪れるかは人によって様々で、多くの人にはそのような時は来ないのかもしれない。 著者は50歳を過ぎてから、堰を切ったかのように随筆を書き始めた。登場人物の心情を巧みに浮き彫りにする、小説と見紛うような作品は、時がつくりあげた芳醇な葡萄酒のように感じられる。
2018/11/02
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