絶望書店: 夢をあきらめた9人が出会った物語
絶望書店: 夢をあきらめた9人が出会った物語 / 感想・レビュー
mariya926
一つ一つの物語が夢を諦めた悲しみが共存しつつも、諦めた後の希望を感じる事ができます。なかなか傑作を集めたなぁと思いましたし、久々に良い本と出会ったと思いました。どれも味わいがあって良かったですが、アジの味は本当に良かったです。上手くいかない時、夢を諦める時など読むと逆に寄り沿ってくれて力付けられるかもしれません。
2024/03/20
モルク
「夢をあきらめた9人が出会った物語」悲観的ではなく心にしみるものが多かった。難聴に悩むベートーベンの手紙から、彼は決して人嫌い、気むずかしく偏屈な人ではなく、音楽家であるが故に難聴を隠したいという思いからあえて人を避けていたことがわかる。彼の苦悩の深さが苦しい。それからFCバルセロナの下部チームにスカウトされた少年の「肉屋の消えない憂鬱」同時期に入ったメッシ少年らとの実力の差、故郷での期待の狭間で悩み夢が重荷になることを知る。と、いろいろバラエティに富んだ内容なのでいろんな読み手に対応できると思う。
2019/06/24
ネギっ子gen
ん、小っちゃな本屋だと立ち寄ったが、展示特集が「夢のあきらめ方」に関する本ですね。ずらーっと平積みされているのが、店主のお薦め本と……。一押しが「断念するということ」って、いいじゃないですか。これ、筑摩の『こころのアンソロジー』中の、山田太一氏選「生きるかなしみ」収録の「編者のことば」。“屋上屋を架す”恐れもあるのに、英断ですねぇ。で、選ばれし9冊、どれも店主の友人知人の推挙と。外国のものの中には、まだ日本で出版されていないものも……。じゃー、置いてある見本をば……。うーん、どれも面白い。流石だよねぇ。⇒
2020/12/31
抹茶モナカ
「夢をあきらめる」時に、心に響くような文芸作品を集めたアンソロジー。いろいろな方が推薦したものを集めた本なのもあり、バラエティーに富んでいる。「絶望」と銘打っているので、太宰系の話の寄せ集めかと思っていたのだけれど、意外にほのかに心に響く、やんわり考えさせるような話が多かった。編者の嗜好に偏らないようにか、第2弾のようでネタ切れによるものか、いろいろな推薦者の審美眼から集められた本で、読者の多様な落ち込み具合の度合いに対応する構成。活字も大きく、読みやすい文章が多かったので、読むのが負担にならなかった。
2019/05/30
Natsuko
夢を持つことの大事さが語られ、叶えなくては意味がないとも言われがちだが、本作は「夢の諦め方」に関する本。著者は20代30代療養生活をしていたのこと、だからこそこの発想なのだろう。ベートーベンやスポーツ選手など9人の打ちひしがれるような悔しさや絶望。書店主挨拶、手書き文字のイントロ、過去の自分と一堂に会する藤子・F・不二雄さん作「パラレル同窓会」がとってもいい。大した夢を持ったこともなく、日常の些細なことで一喜一憂している自分は絶望を経験したとはいえずアップダウンのない人生だが、それはそれで良しとしよう。
2021/01/16
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