モダニズム・ミステリの時代: 探偵小説が新感覚だった頃
モダニズム・ミステリの時代: 探偵小説が新感覚だった頃 / 感想・レビュー
Mark.jr
黎明期の日本の探偵小説・ミステリーがいかに同時期のモダニズム文学と呼応していたのかを解説した本になります。江戸川乱歩のような代表的ミステリー作家も、もちろん取り上げられていますが、どちらかというと川端康成や横光利一など、ミステリージャンルではない作家の方を積極的に俎上に載せていた印象です。なんにせよ、当時まだ発展途上だったミステリーならではの熱は十二分に伝わっています。
2023/02/26
あんすこむたん
探偵小説を中心にモダニズム文学とその時代を丹念に追った内容。知識としても様々な部分が、繋がった感覚があり、作品の解説もレベルが高く感じられた。
2020/03/08
rbyawa
j115、横光利一関係を読んでいると「純文学と大衆文学の融合」ということが語られていたがなるほど探偵小説(というか幻想小説)のテイストが都市生活の中に入り込んでいるのか、それをモダニズムと言われると確かにわかりやすいが、あまり探偵小説寄りだと評価が低くなるらしいというシビアな分析もあり、そうすると新感覚派って本気で強い後ろ楯があったんだなとも感じる。好き放題してんなぁ…SFみたいな作品も普通に文芸雑誌に載ってたんだなこれ。探偵作家の本を思い返すとなかなかの扱いの差かも。テキスト論としては無類に面白かった。
2019/11/11
Lieu
科学と不思議(幻想・怪奇)が、十九世紀の安定した世界像を突き崩す魔術的なものとして同居していたのがモダニズムの特徴か。「ミステリ」も今では探偵小説を意味するけれども、元の意味はミュステリオン(人智の及ばぬ謎、神秘)であり、探偵小説が本格と変格に分かれてゆくのは、謎に対する態度の違いに過ぎない。この二重性でモダニズムと探偵小説は共鳴する。何となく世紀末ウィーンの「神経の神秘主義」を連想した。
2023/09/09
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