伯爵のお気に入り: 女を描くエッセイ傑作選
伯爵のお気に入り: 女を描くエッセイ傑作選 / 感想・レビュー
ちゃちゃ
時折、無性に読みたくなる大好物の向田邦子エッセイ。巧い、落としどころが絶妙。本作の副題は「女を描く傑作選」。中には時代を感じさせるものもあったが、いずれも彼女の鋭い人間観察眼で切り取られた女性の特性が、ユーモアとペーソスを織り交ぜ、気取らない筆致で、時には辛辣に綴られる。既読ではあったが、彼女の生き様を真摯に吐露した『手袋を探す』が印象に残る。自分に合う「手袋」を妥協せずに追い求める、探究心や好奇心、自己愛の強さ。自分の欠点を隠さず、私は私!と丸ごと受けとめ勇猛果敢に生きてゆく潔さに惚れ惚れするのだ。
2023/01/23
sasa-kuma
こだわりと観察眼が半端ないです。ひと冬を手袋なしで過ごし会社の上司の「君のいまやっていることは、ひょっとしたら手袋だけの問題ではないかも知れないねえ」という言葉にハッとする向田さん。このことを機に考えに考えて、このままでゆこうと腹をくくったはなし「手袋をさがす」向田さんのエッセイ で1番心に残っているもの。この本にも収録されていました。本の佇まいがステキと思ったらクラフト・エヴィング商會でした。中紙の色がすみれ色がかった灰色で、スピンの色とリンク。さらに中表紙はさくら色。とっても美人さんな本です。
ひつじ
久々にまともな(?)読書が出来ました。向田邦子さんのエッセイ。ポツポツ樹木希林さんの話も出てきたり。好きな雰囲気なのでしばらく向田さんを読もうかな。最後の短編はもやもやする~。
2020/04/06
bluelotus
★★★☆☆ 向田さんのエッセイは相変わらず文章の落としどころがかっこよく、最後の小説の主人公もどこか向田邦子の雰囲気を匂わせる。今回もクラフト・エヴィング商會の装幀だったのだが、吉田篤弘さんの猫のイラストはう~ん…という感じではあった(笑)
2019/09/13
ふくねこ
子供の時に向田邦子が亡くなったニュースを聞いて、歳をとって亡くなったというイメージがあったのだが、今の自分の年齢とたいして違わないと知り愕然とした。人間としての成熟度がまるで違う。私が単にふわふわした人間なのかもしれないが、大人と呼ばれる人達がどんどん幼稚化しているような気がしてならない。向田邦子が筆を取ればどんな題材でも名文になってしまうのではないか。こんな読後感を得られる作家にはあったことがない。生きていれば90歳。向田邦子が今の日本をどのように見たか、本当に文章を読んでみたかった。
2019/08/21
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