遺言歌
遺言歌 / 感想・レビュー
いつでも母さん
なかにし礼。短編3話。どれも想像が膨らみまるでドラマのようだった。氏の作詞した歌はどれも情景が浮び、これも?あれも?好きな歌が沢山ある。長編小説ではその圧倒的な体験を基に、人間の業を何度も読ませて貰った。歌や小説が身近にあって、もういないんだとは未だに実感できない方の一人だ。
2022/01/14
いちろく
私小説なのか……。臨場感というよりも、その場その場を切り取った様な、現場の様子のそのまま描いた印象をうける短編集。人の欲が生きる活力にも繋がっている事を示すような内容の数々であり、生々しさも感じる昭和の雰囲気。昭和から平成にかけて数々の歌を残した作詞家でもある著者。調べてみたら世代が違う私でも知っている歌が多くて驚いた。
2022/03/29
detu
図書館新刊棚より。丁度一周忌の発刊。『遺言歌』『奥様の冒険』『ベル・エポック』の三作収。私小説ではないけど、モチーフはなかにしさん自身のようだ。ベルエポックが一番 好きかな。奥様の、はコミカルで面白い。波乱に満ちた人生だったようだ。
2022/01/21
よし
心筋梗塞で入院した頃の話。主人は作者本人そのものみたい。シャンソンの訳詞から歌謡曲の作詞家として身を立てる顛末の葛藤、その後の兄の借金にのたうちまわる15年。心の闇を見る思いだった。「 人間は夢を見なくなるとどんどん視界が狭くなる。普通の大人の目はみんなそうだ。足下の現実ばかり見ようとするからだ。夢見る人の目はいつも遠いところを見ている。ちょっと愚かしくも見えるけれど、愚かさとは若さのことでもあるのだ。」
2022/01/13
chuji
久喜市立中央図書館の本。2021年12月初版。初出『遺言歌』:「オール讀物」1993年5月号、『奥様の冒険』:「オール讀物」2002年4月号、『ベル・エポック』:「別冊 文藝春秋」2000年4月春号。礼さんが壮年時代に書いた私小説三編。今更ながら惜しい人を亡くした。
2022/01/05
感想・レビューをもっと見る