緊急事態下の物語
緊急事態下の物語 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
ここで言う「緊急事態下」は、どうやら世界がコロナに席巻されていた時のことであるようだ。この共通テーマのもとでの5人の作家たちによる競作(最後の瀬戸夏子「MINE」以外はすべて「文藝」2021年春季号)。これらの作家のうち、尾崎世界観は初読。最も力量の安定しているのは、金原ひとみ「腹を空かせた勇者ども」。コロナ下での女子中学生の日常をこの人らしい筆致で描き出す。他の4人は多かれ少なかれディストピアSF風なのだが、いずれも身の丈に合っていないとの印象を免れない。したがって、文学としての衝撃度も今一つである。
2024/04/01
starbro
コロナもしくはパンデミックをテーマにした人気作家による短編アンソロジー、瀬戸 夏子だけ未読の作家でした。オススメは、金原 ひとみの『腹を空かせた勇者ども』&尾崎 世界観の『ただしみ』です。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309029658/
2021/07/08
美紀ちゃん
最近の中で1番コロナ禍という感じ。金原ひとみさんの、2度見をした。パパがいるのに彼氏がいる?ママの彼がコロナ陽性になって、ママは濃厚接触者でPCR検査。とりあえず学校休んでと娘に言うママ。日曜日はバスケの大会なのに。よその男と遊んで濃厚接触したママのせいで全部ぶち壊される娘の気持ち、ママは「これは私の恋愛のせいではない。コロナのせい」と言い切る。単に確率の問題だと。ガイドラインに従い2週間学校を休んだ娘はママとは和解しラストは和やか。面白かった。尾崎世界観も好き。
2021/07/10
いたろう
金原ひとみ、真藤順丈、東山彰良、尾崎世界観、瀬戸夏子、2人の直木賞作家、1人の芥川賞作家を含む5人によるアンソロジー。タイトルから、コロナ禍の今を描いた小説なのだろうと思ったら、コロナ禍のリアルな今の社会を舞台にしているのは、金原ひとみの作品のみ。他は、ウィルスと言っても、コロナとは全然別のものだったり、話も、SF的な要素を含む不穏な近未来ものだったり、結構自由。そもそも、5作中4作が、「文藝」2021年春季号の特集「夢のディストピア」に掲載された短編で、特にコロナをテーマに書かれたものではなかったよう。
2021/08/06
ヒデミン@もも
金原ひとみさん以外、完全に敗北。私の想像力が足りないのか、知らない世界ばかりでお手上げ状態。これまで苦手意識があった金原さんの『腹を空かせた勇者ども』がリアルで良かった。若者言葉にも辛うじてついていけて良かった。この作品だけでも、この本に出会えて良かった。
2022/01/11
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