さらば、ベイルート : ジョスリーンは何と闘ったのか
さらば、ベイルート : ジョスリーンは何と闘ったのか / 感想・レビュー
どんぐり
レバノンの映画作家ジョスリーン・サアブ(1948-2019)。生前親交のあった四方田(映画研究者)が、彼女との出会いと別れを綴ったノンフィクション。ジョスリーンの最後の仕事が、元日本赤軍幹部・重信房子と娘メイの母娘の絆の物語。四方田はジョスリーンの住むパリのアパルトマンに滞在し、映画の実現化に彼女に協力し、二人から映画化の了解を得ながらも、ジョスリーンはパリの病院で急逝する。1970年の「よど号」ハイジャック事件、1982年、イスラエルのレバノン侵攻(レバノン戦争)。→
2024/04/07
林克也
帯のコメントが多和田葉子と斎藤真理子。表紙写真が1982年のイスラエルによるサブラ・シャティーラ。それだけで読む前からテンションが上がってしまった。なお、この年4月に私は就職し社会人。 私にとって重信房子といえば中学一年の1972年5月のテルアビブ空港乱射事件。その前、5月15日には沖縄返還。さらにその前2月28日のあさま山荘事件。永田洋子だ。小学校から中学校に上がったタイミングで生じた事象が、今の物の見方の基礎になっている部分があると思う。ジョスリーン・サアブ。なにはともあれ、その作品を見てみたい。
2022/07/19
zorg
ベイルート生まれの映像作家ジョスリーン・サアブの生涯を書いたノンフィクション。映像作家と言われても自分には知らない世界なので、なんでこの本を手にしたか不自然なんだけど、ベイルート、重信房子、重信メイという記述にひかれたから。余命いくばくもないジョスリーンとの交流が濃密に語られる。引き込まれます。「ジョスリーンは何と闘ったのか」の著者の答えは「後記」に記述がある。
2022/07/13
Ahmad Todoroki
遺稿集とは、書くことを生業とする者が生前書いたものを残された者がかき集め出版した書籍のことだと思うが、本書のスタイルはそれに近いようで実は違う。追悼のために書かれた本には違いないが、非常に独特な構成。レバノンにもアラブにもフランスにも興味のない人にこそ読んで欲しい本だし、実際何の予備知識もない方が読みやすいかもしれない。ジョスリーンの闘ったものとは何か?
2024/07/06
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