フランスの街の夜: 遠藤周作初期エッセイ
フランスの街の夜: 遠藤周作初期エッセイ / 感想・レビュー
がんもどき
遠藤周作の文章を丹念に拾い集め、編まれた本。ぐっと重い文章から徐々に軽い、読みやすいものへと続くので、最初の方が読むスピードは自然遅くなる。1年に四冊か五冊本を買いなさい。そして五回も六回も繰り返し読みなさい。という言葉に、ひたすら乱読する自分は恥ずかしくなった。
2023/03/11
まる
遠藤周作は好きな作家。今回の幾多のエッセイは色々なタイプがあったが、冒頭の本の題名の"フランスの街の夜"は静まったフランスの街で1人異邦人として生きる孤独を描いて、実に見事だった。夜のフランスの魅力と、その静寂の奥に隠されている多角的な孤独がひたひたと迫ってくる。また、映画「汚れなき悪戯」の批評ではカトリックの立場からの見かたが記されて、信仰と作品と観客の繋がりを教えてもらえた。映画を見た時、子供だったと思えば、深く感じようもなかったが、それにしてもあのように宗教的に深い作品だったのかと思った。
2023/07/12
hirayama46
タイトルには初期エッセイとありますが、新しいものでは90年代の文章も収録されているので、新発掘エッセイ集という趣のほうが強いかも。性質上、別の本で読んだものと近い内容のものも多かったので、ファン向けのアイテムといえそうです。しかし、いろんなところに書いていたのだなあ……。70年代においては遠藤周作はそれほど小説を読まない人への知名度も高かったようですが(わたしはその時代に生きていないので推測ですが……)、あちこちの雑誌や新聞への精力的な寄稿がその理由のひとつだったのかもしれません。
2023/05/04
ihatov1001
遠藤周作初期のエッセイ+α集です。まじめなものから狐狸庵節の効いた面白エッセイまでいろいろありますが、ご本人の渡仏にまつわるエッセイが面白かったです。フランスへ向かう途中の船が寄港した太平洋戦争の爪痕が残る東南アジアの様子、また留学中のフランスにて病を得て、死を感じつつ書かれた日記などを堪能いたしました。
2023/04/04
TB
N図書館本。遠藤周作は4月に読んだ『私の愛した小説』以来。久しぶりになってしまった。「初期エッセイ」とあるが、初出は1951から1992まであり、「初期エッセイを中心に」が正確だ。できれば巻末だけでなく題の下にでも初出を書いていてくれるとありがたかった。副題をつけると、Ⅰ:若い時、Ⅱ:文学、Ⅲ:コラム、Ⅳ:映画、Ⅴ:真面目に、Ⅵ:ふざけて、かな。それにしてもⅢのコラムは、天声人語みてーだなと思っていたら朝日新聞での匿名記事だった。でもイザヤ・ベンダサンを本当のユダヤ人のように書いているのは頂けない(笑)。
2023/02/12
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