詩人と女たち 上巻
詩人と女たち 上巻 / 感想・レビュー
つちのこ
中川五郎のブコウスキー訳は沢山あるが、主人公に「わたし」と言わせるところがおとなしい。青野聡訳では「おれ」だ。やっぱりブコウスキーものは下品でなくてはいけない。しかし、弁護するならこの小説はブコウスキーの分身とも言える主人公、ヘンリー・チナスキーの女にだらしない自由人の生きざまがストレートな表現でうまく訳されている。 訳者あとがきでブコウスキーの魅力について書いている、“女に対しての男の気持ちや感じ方、考え方を作品の中であまりにも正直に書き綴っている”は全く同感。
2000/01/22
マッピー
限りなく自伝に近い小説なのでしょう。しかし、私小説のイメージとはまたちと違う。私小説って、自分のことをねちねちと後ろ向きに書いているようなイメージが強いけど、この小説は全然後ろ向きではない。前向きかって言われるとそれもどうだろう?とにかく酒、女、ギャンブル。こればっかり。 どうしてこんな自分勝手な女の人たちがてんこ盛りなのか。自分の周りに彼らのような人たちがいたら絶対に嫌だ。仲良くなれない。けれどこの下品で汚くて身勝手な人たちが織りなす物語。決して好きではないけれど、結構ぐいぐい読めました。
2015/02/05
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