内なるネコ
内なるネコ / 感想・レビュー
(C17H26O4)
バロウズの作品を検索していてたまたま見つけた。バロウズにネコの本があるとは意外だった。日記の体で書かれた文章の中に、たくさんのネコの名前が人間の名前と同じような扱いで一緒に出てきて、途中からネコなのか人間なのか少し混乱するなあ、と思っていたら、バロウズの人生の中にあった人びとが投影されているようだ。現実と夢との境がなくなったような、ちょっと狂気を感じるような雰囲気もあるのだけれど、なんだか妙な心地良さもあって、手元に欲しいと思った。書影の黒いネコは、実際はホログラムのようになっていて奇しい虹色。
2021/02/27
キジネコ
あのバロウズです。アメリカのアングラの王様の一人、「裸のランチ」の作家の70歳の記念出版、猫の本。読んでる最中に頻りに思うのは、意外なことに老荘の教え。全ての感懐は己の内に有り、様々に結ぶ、その像を鏡面に覗き込み、人は何を思う日々を生きるのか。先生達は喜怒哀楽からも自由になれと諭すけど老作家の心の鏡に映る「内なるネコ」は無垢で自由で正直で人から遠い存在であり乍も凄く人臭い。作家は多くのエピソードを遺し、生を終えましたが、読者にとって この本も又「内なる鏡」理解するより感じる侭が大切な様な気が致します。
2015/07/14
roughfractus02
猫が語るのか作者が語るのか判断しづらい書き方だ。何かが何かに変容し、物語も逸脱を繰り返す作者の従来の作品に慣れてくると、ウィルスとしての言葉と抗争を繰り広げ来た例の書き方で日常を描くようにも見える。が、60才を過ぎて猫好きになった作者が描く猫を溺愛する記述の諸断片は各ページの余白に浮かぶかのように、優しくたゆたう。一方、人に媚びる犬に「醜い霊」を見る作者の記述を見ると、好悪は自分の内に溶け込む度合いでできているように思える。憎しみは対象となって罵倒の形容句を纏い、愛情は自由間接話法的に自他の区別をなくす。
2020/11/28
なる
ネコ大好き本かと思いきや、なんだかわけがわからない方向に話がぶっ飛んでいく。ただ長編ではないので読みやすくて世界観に触れたい人にはオススメかも。アクは薄めだけれど。
ymazda1
この文章の中に描かれてたイヌのことだとか、知らないなりにイメージするこの人のこと・・・関係性の中に自分が埋没させられてしまうことへのなんとなくの恐怖感と、ネコがネコのままネコであるということが与えてくれるなんとなくの安心感・・・なんだろうか?・・・あと、もう少し、バロウズじいさんとネコの写真を載っけてほしかったな。
感想・レビューをもっと見る