夢の書: わが教育
夢の書: わが教育 / 感想・レビュー
なる
バロウズが生前に残した最後の本。ストーリーがしっかりした小説というよりも断片を切り取ったエッセイ風な内容で、自身のこれまでに辿ってきた経験を思い起こすかのように若き日の彼と行動を共にしたビート・ジェネレーションズ達が登場する。記憶なのかそれともタイトル通り夢の話なのか、独特の裁断された文章によって境界線は曖昧。これまでバロウズの翻訳を多く手掛けてきた山形浩生がここでも担当。終わりの解説文でも山形浩生なりのバロウズへの愛が溢れている。本当に最後まで好き勝手に生きながらえて、勝手に逝ったバロウズ。合掌。
2022/11/21
roughfractus02
晩年の作者は書き記した断片を切り貼りする作業に没頭していたという。本書は作者の死後に編集された遺著だが、かつてギャングの死までの速記録を小説化した内容とは異なる批判や風刺がモザイクのように散らばめられている。もちろん、麻薬中毒的なフィルタによって、意味や文法に刃向かう文字も多くある。が、世界からの解放を願って高所から飛び降り、落下して背骨を折る記述には自虐は一切なく、真摯な一瞬の飛翔への賭けがあるだけだ。それゆえこの夢の書は戯言に止まらず箴言となり、教育となるのだろう。「彼女は有毒な思春期のために死んだ」
2020/12/04
TakamiQ21
「わたしは自分の人生で何をしただろう。ちょっと表面をひっかいただけ。まだ額に入れる用意はできていない。」 バロウズが見てきた夢について綴られた本です。 彼は特に「死者の国」についての夢を多く見ていた。 死者の国に出てくる人は皆死んだ人たち。彼をおいてこの世から去った人たち。猫もたくさん出てくる。 バロウズは心の空虚を夢で見ていたのでしょうか。
2020/01/15
IKUNO
『夢の書 わが教育』(ウィリアム・バロウズ/山形浩生訳) <河出書房新社> 読了です。 タイトル通り、夢を書き綴ったものだと思われます。多分。 「わが教育」は何に掛っているのかはっきりしませんが、訳者あとがきを読むと、バロウズの生き方(生きてきたあれこれ)を最後に表現した作品なのかもしれません。 バロウズについてよく知っている方が読めば、バロウズをとりまく様々な人々が出てくるので面白く読めるのかもしれません。 私は初バロウズだったので、まあ、夢を書いたんだなあ、ぐらいの感想しか抱けませんでした。
2015/04/11
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