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サレンダー

サレンダー

サレンダー

作家
ソーニャ・ハートネット
金原瑞人
田中亜希子
出版社
河出書房新社
発売日
2008-12-19
ISBN
9784309205113
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サレンダー / 感想・レビュー

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(C17H26O4)

先に救いはあるはずだ、そんな気持ちで読み続けた。病弱のように思え、家族から虐げられ、友だちのいない少年アンウェルが孤独に追い込まれていく様子があまりに容赦なくて、何度となく読む手を止めたくなったから。ああ、なのに(どこかでやはり)この結末…。彼の前に現れ、彼を「天使」と呼び続ける「友だち」フィニガンは何者なのか。見つかった骨とは何なのか。再読したら救いのなさがさらに分かるだろう。この本をYAの括りで読んではいけない。

2021/02/25

小夜風

【図書館】自分は一体何を読んだんだろう?と、混乱しています。ソーニャ・ハートネットさんを五冊読んできた中で一番難しかった。少年犯罪を起こしてしまった子どもたちの内面を覗いてみたら、こんな感じなのだろうかと、戦慄しながら読みました。怖かった…ただ…怖かった。

2014/11/08

キキハル

混乱しているのは私なのか彼の記憶なのか。若くして死に向かいつつあるアンウェルは過去の出来事を回想している。亡くなった兄のヴァーノン。町中を騒がせた連続放火事件。初恋の少女。スレンダー。そして野性児のようなフィニガンに出会い、契約を交わしたこと。天使ガブリエルと復讐魔として、湖面に映る影のように分かちがたく繋がってしまった二人。だがフィニガンは正しく存在していたのか。アンウェルの想像上の分身だったのではないか。そんな気がしてならない。秘密と疑惑と贖罪の町から意志の力で飛び立った彼。残酷でやりきれない物語。

2012/07/17

ぱせり

圧倒されました。何をどう書いていいやら。最期まで戦い続ける・・・そう決心したことが、勝利である、と思いたい。醜く残酷で苦々しい場面が続きながら、物語全体に漂う透明感。美しさ。打ちのめされた、と感じながらも、この透明感は、いつまでも心に残りそうです。

2009/08/23

ケロリーヌ@ベルばら同盟

鼻腔にガソリンと砂糖が焦げる匂いが残る。両目は煙りでひりつき、砂塗れの頰に涙が縞模様を描く。炎熱の中息が詰まり、身体は痛みに軋む。オーストラリアの作家、ソーニャ・ハートネットの作品を読むたび、過酷な自然と、炎暑、冷たく乾いた虚無にうちのめされる。血の契約によりガブリエルとフィニガンは、それぞれ天使と破壊者になった。交互に語られる二人の物語は、時に近付き、時に離れながら次第に縒り合わされ、彼らが住む小さな町の無人の通りを、夜の森を、苔むした谷を、夢現の境を、シナモン色の長い脚をした大きな犬となって疾走する。

2018/03/27

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