遠い町から来た話
遠い町から来た話 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
読書メーターで評判のショーン・タンに初見参。噂にたがわぬ充実度だ。表紙の絵(篇中の「壊れたおもちゃ」の挿絵)に描かれた潜水服の中には深淵が待ち受けているかのようだ。そう、ここには言葉と絵とで織りなされる、もう一つの世界が拡がっている。そして、それは誰もの心の片隅で忘れられたように存在していた世界なのだ。タンはそれを不思議な絵で開示して見せてくれる。時にはそれは世界の最果てであるかもしれない。寂しさと温もりとが奇妙なバランスで同居する絵本。
2020/04/25
❁かな❁
とっても素敵な15の作品集!ショーン・タンの作品を読むのは4作目。初めて読んだ『エリック』もこの中に入っていて再読しても可愛くてキュンとし、じーんとする*大好き♡『夏のルール』に出てきた兄弟も登場♪ここに収められた物語は何気ないスケッチやいたずら描きから生み出されたとのこと。装丁にもなってる「壊れたおもちゃ」は背景に日本人潜水夫たちの悲話があり涙が滲む。モノクロの絵やカラフルな絵、いろんな人の文字のコラージュ、新聞記事のようなものもありバラエティ豊か♪私も「火曜日の読書会」メンバーに入れてもらった気分♡
2018/02/06
kanegon69@凍結中
これはまた面白い!15の短い話と絵からなる本作。一番ホッコリするのは「エリック」ですが、他の話もなかなか深いですよね。ショーン・タンの絵本は最初、うん??となり、寝る前につい考え、ボーっとしている時に思い出し、あぁまた見たい、となりますね。どれもよかったですが、「お祖父さんのお話」「他にはない国」「棒人間たち」「備えあれば」「葬送」がとても印象に残りました。絵の雰囲気が一作一作随分違うので「アライバル」とは違う楽しみ方ができます。「それで君はどう思ったの?」とショーンに言われているかのようでした。
2019/12/23
Vakira
「アライバル」に感動したので、感動を求めて読んでみた。15編からなる絵本の短編集。2ページものの本当に短いものもある。驚くのはその画風。15編とも異なった世界。タンはやはり凄く素晴らしい!特に表紙の宇宙服的潜水服の「壊れたオモチャ」よく見ると日本の判があったり、「エリック」の最後のページ、「お祖父さんのお話」はなかなか感動ものです。またしてもタンの絵本の可能性への挑戦を感じました。
2015/02/07
のっち♬
郊外育ちの視点で日常と非日常を融合させたバラエティ豊かな作品集。大半が物語の萌芽だけで終わる点が特徴的で、異文化への感謝と共に発芽が描かれる『エリック』の演出は冒頭を飾るに相応しい。『棒人間たち』は対極のアプローチを採った作品で『ウサギ』『セミ』に通じる普遍的な不条理。『壊れたおもちゃ』は解説でガラッと印象が変わったり。『お祖父さんの話』の作画は面目躍如とも言える重厚なタッチ。『備えあれば』『ペットを手作り』はより明確で強いメッセージ性が込められている。手書き文字は柴田元幸や道尾秀介たちという豪華メンツ。
2022/05/26
感想・レビューをもっと見る