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ランサローテ島

ランサローテ島

ランサローテ島

作家
ミシェル・ウエルベック
Michel Houellebecq
野崎歓
出版社
河出書房新社
発売日
2014-05-22
ISBN
9784309206516
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ランサローテ島 / 感想・レビュー

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ケイ

ウェルベック三作目。彼の描く性行為にはいい加減辟易するも、こうしか描けない彼自身の性生活はどんなに無味乾燥なものかと想像する。愛から越えたところに性を求めた男が行き着いたころは新興宗教。当時は、日本ではオウム真理教がサリン事件をおこし、クローンのドーリーが話題となり、それを人間でも行おうとした欧州の団体がニュースで報じられていたのを覚えている。作者がその頃に持った危機感があらわれているのだろうか。

2014/08/23

どんぐり

アフリカ大陸の大西洋沖に実在するカナリア諸島にあるランサローテ島。本の半分は、ウエルベック自身が撮ったこの島の「サボテン庭園」と火山クレーターの中にある「ティマンファヤ国立公園」の写真で占められている。残り70頁余りが、この島にヴァカンスでやってきたパムとバルバラのドイツ女、それとベルギー男のリュディとの出会いを描いたフランス人男の独白。この作品はあの性的な猥雑さを描いた『プラットフォーム』『ある島の可能性』へと連なる、いわばその助走のための試作品にもみえる。「イスラム原理主義の広がり方にも憂慮すべきもの

2015/11/20

めしいらず

どんな辺境の地であろうと思うような観光地色に染めてしまう白人特有の傲岸さ。現地の人を見下しているような彼らは、非日常感を求めていると言いながら、どこの国に行ってもプールサイドや砂浜に寝そべっていたり、セックスに耽ったりするばかりだ。その一方で、異国の地で人が見せる解放的な性に触発され、独特の性的教義を唱える異端宗教にのめりこむ者。それ故に社会から逸脱してしまった彼が、最後に見せる落ち着きはらった態度。傍目にはどんなに不幸に映っても、それは本人が感じている幸福には何ら関係がない。

2015/11/30

たーぼー

ノーマルな愛が破壊され沈黙が支配する地に真実の救いがあるというのか?結びつけ讃えられる性と聖と科学。この疑問に対する答えは提示されているものの、決定的に解消されたとは言い難い。無神論者たるウエルベックの根源的な主張を捉える境地に達していない私の浅はかさゆえか。歯痒さを味わうために費やされた短い時間。僅か66頁。島の荒涼とした写真の数々は皮肉以外の何物でもない。解説によると幾つかの他書との繋がりがあり併読によって見晴らしが広がるらしい。受け入れ難いが何故か気になる作家だ。

2015/05/25

安南

表紙、草間彌生⁉︎かと思ったら、ホンモノのサボテン。驚いた。ランサローテ「人類なき後の世界というヴィジョンを具体化している」島。その姿は作者自ら撮った写真で、たっぷり堪能できる。ラエリアンネタなど新興宗教と科学の結合の必然性とその命運についてなど、『ある島の可能性』のテーマはすでにここでも取り上げられていたのだな。『ある島の〜』を読んだ後では、短編ゆえ仕方ないが物足りなく感じた。

2015/02/11

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