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コールド・スナップ

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作家
トム・ジョーンズ
舞城王太郎
出版社
河出書房新社
発売日
2014-08-13
ISBN
9784309206578
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コールド・スナップ / 感想・レビュー

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Hideto-S@仮想書店 月舟書房

紙の上に並んだ文字が視線を通すとのたうって、襲いかかって来るような錯覚に陥る。痛み、嘔吐感、バッドトリップの中でみる幻覚……蛇行しながら疾走するリズムに乗り切る事は僕にはできなかったけど、中毒性のある10篇の物語が並ぶ。約300頁の恐らく半分以上にファ✕クの文字が踊る舞城王太郎氏の訳は、村上春樹氏や柴田元幸氏の訳と比べると車にジェットエンジンを搭載したような疾走感だ。万人向けではないかもしれないが、ザ・ドアーズとショーペンハウアーから霊感を得ているというトム・ジョーンズ氏の世界には相応しいのかも知れない。

2016/01/02

ケイ

【拳闘士の休息】がとても良かったのでこちらも手に取った。この短編集は、薬やドラッグや拳銃や…、とにかく登場人物達がみんな弱くて、他人に頼るのが下手で、どの話でもどんどんと自分を痛め付けていくのを読むのがつらくなる。かれらが最後にふんわりと得る平穏のようなものは、最終的な救いではなく、小さなアップダウンの中でのことで、きっとまた繰り返してしまうのだろう。しかし、こういう平穏、あるいは休息は、それなりに幸せなのかもしれない。昔の映画、【カッコーの巣の上で】を思い出した。

2014/11/24

ずっきん

あああ、どいつもこいつもいい! 瀬戸際なヤツらのギリッギリ。ジャングルの奥で戯れる医師たちの能天気さとやりきれなさ。死を願い、その瞬間でさえ生き生きと語らう、車椅子の女と悪党。望んだ通りに前線に送られた少尉は何を思っただろうか。じりっと再び火がつくボクサー。短編にしてもっとゆっくり読めばよかったと思うほどの作品内リアリティと余白。トム・ジョーンズすげえええ! 舞城さんの訳は、好きすぎて冷静さをちょっと失ってるよね(笑) キャライメージがガチガチに固められててうるさいけれど、愛が伝わってきてヨシ!

2019/10/24

keroppi

舞城王太郎の翻訳本ということで読んでみる。生きていることの苦痛からほとばしり出る言葉が弾ける。自分の実感としてとらえられる世界ではないが、言葉のパワーを感じる。次の短編集も翻訳しているらしいが、また読んでみたくなる。

2019/11/15

藤月はな(灯れ松明の火)

舞城王太郎が海外小説を翻訳していることに驚いて読む。無理にヒップホップ感を出しているようで馴染めなかった舞城王太郎節と比べて普通の翻訳で嬉しい。『トレイスティング・スポット』や『フィルス』を思い出させる享楽的に見えてその根底にどうしようもない絶望がある作風ですね。「ウウ〜ベイビーベイビー」や「ロケットファイア・レッド」は徐々に分かるのっぴきならない現状とそうでもしないと泣いちゃいそうなラストの一文に泣きそうになる。「私を愛する男が欲しい」、「ダイナマイト・ハンズ」の孤独故のみっともなさも一転していじましい

2017/06/25

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