コドモノセカイ
コドモノセカイ / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
懐かしくも同時に家族や友達に依存するしかなく、少し、疎ましい子供の頃を振り返るような作品集。最初の「まじない」から好みドンピシャ。誰もがこんな想像したことがありませんか?そして両親の無理解とそれでも自分の信じる世界のルールを守りたいと思ったことも。最後は不穏な余韻があるけど。「王様ネズミ」は決して受け止めきれない現実への向き合い方についての覚悟に胸が熱くなる。「子供」はレイシズムを持ち、嫌味で下品な中年男性として喋るという赤ちゃんを捨てに行く女性(母親ではない)との会話に年代を問わない男女の断絶を感じます
2017/10/30
★Masako★
★★★★ 翻訳者である岸本さんが"子供”をテーマに海外作品(ほぼアメリカ)から選りすぐった12篇からなる短編集。子供目線で語られる話は、どれも不思議で不穏で純粋だけれど残酷で、まさに"こどものせかい”♪ いつの間にか買い物カートに乗っていた天使のような可愛らしい子供。実は…一番不気味に感じた「子供」子供のいじらしさが伝わってくる「ブタを割る」、古びた図書館に置き捨てられた子供を育てる事になった七人の司書たち。親子のような暖かな関係を見事に描いた、ラストの「七人の司書の館」が素晴らしかった♪【図書館本】
2020/11/14
澤水月
訳し下ろし「七人の司書の館」に落涙止まらん。本好きなら誰でも憧れ混じりに切ない図書館で赤子から育つ子供の話…ラストに正直驚く。司書に挫折した身としては分類巡る愛らしいいざこざも沁みた。グロテスクなのに熱帯び官能的な最終果実(題つけ方いい!)、芯まで冷える、弟・薬の用法・子供(悪夢そのもの)…があるかと思えば本当に微笑ましい「豚を割る」!子供は純真無垢なんて大嘘と分からせるバラエティ豊かな選書と丁寧な訳。栞代わりに本折るの、ドッグイヤーて言うのか! 北海道で7日サバイバルした子発見のさなか読了も運命に感じる
2016/06/05
もりくに
岸本佐知子さんの奇妙なテイストが好きだ。翻訳も、エッセイも。奇妙な話を集めてくる名人だ。「変愛小説集」(例によって、積ん読)のように。本書のタイトルは、彼女が幼稚園の時に読んでいた「こどものせかい」からの借用。(絶妙のネーミングをする彼女らしくない気もチョット)その時、妖精などが飛び回っていて、変なことを考えたり、見たりしてもいいんだと、とても安心した、と。「三つ子の魂」健在。本好きには、「七人の司書の館」が、一番刺さる。移転した旧図書館に残った司書の前に、ある日、「赤ん坊」が。延滞した本の利子として。
2022/02/22
あじ
コドモノセカイという缶には、ドロップスが12個入っていた。「七人の司書の館」は一番好きなイチゴ味。返却本と一緒に赤ちゃんがやってきて、司書さんたちと図書館で暮らすお話。「ブタを割る」はレモン味。子供らしい愛情が酸っぱく広がる。「トンネル」と「まじない」はやっかいなチョコ味。SFな怖さでドロップスをかじって一飲み。苦手なハッカも当たってしまった。でも次のドロップスが欲しいから、ちゃんと缶を空にしました。岸本佐知子さんが翻訳した、子供にまつわる掌編が集められています。表紙のアイテムは子供たちの宝物かな。
2015/11/24
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