美について
美について / 感想・レビュー
ケイ
私は、絵画に興味が薄いというか、興味がある画家が限られている。特にレンブラントやフェルメールは、凄いとは思うがじっと観たい気が起きないのだ。後半のつまらなさは、私のその嗜好のためだ。そして、セクシャルな部分についての彼女の描き方は、いやでたまらなかった。思わず目を背けたくなるような不快感…。そして、物語全体としてもそういう終わり方をするかなあという疑問。この作家は私とは、まったく感覚のリズムが違うのだなと思う。イギリスでの評価は非常に高いようなのだけれど。
2017/02/11
まふ
EMフォースター「ハワーズ・エンド」を下敷きにしたとされる大部の家庭小説。主人公は白人大学教授のハワードとその黒人の妻キキおよび3人の息子、娘(ジェローム、ゾラ、リーヴァイ)、そしてハワードのライヴァルである黒人の教授モンティー・キップスとその家族。これまで読んできたいわゆる黒人的世界とは異なり、白人型のインテリ型日常生活の中での物語なので不思議な感覚を覚える。やることは白人の教授連中の世界と同じ、白人と同じように浮気だらけの乱れた日常でありそれを糊塗するのも同じ。⇒
2024/09/10
やまはるか
ゼイディー・スミスの「直筆商の哀しみ」が面白かったので2段組500ページのロシア文学並みの厚い本を手に取った。読み終えるのに半年以上かかった気がする。主人公はレンブラント研究者の大学教授ハワード(家族で唯一の白人)、かなり美人だった黒人の妻は3人の子を産み年を重ねて巨体を持て余す婦人に変貌した。ハサミを入れて3つに分けた物語の一つは「美と間違いについて」。読後に振り返れば物語の核心を突くタイトルとも思えるが、長い小説を俯瞰する読書は最後まで出来なかった。訳者あとがきを読むことでようやく完結した。
2022/05/27
margo
ゼイディー・スミスの本の中で一番読み易かった。身に覚えのある愚かさがいくつも書かれている。気まずい負の面を率直かつ思わず笑う表現比喩で書きながら、登場人物を完全に切り離してはいない。 ラップ好きの末っ子16歳リーヴァイと優等生の長女ゾラのやり取りに何度も笑った。
2016/07/07
バナナフィッシュ。
才能とはこういったもの。学生の身分で、版権争いが起ったのいうのも頷ける。イギリス人が好みそうな知的なワードでストーリーを引っ張る上に、それがまるで嫌みでもなく、ちょうどいい具合に色々なツボをついてくるのだ。早いところ、あざといまでに巧みなのだ。ぶ厚いのを見て嬉しくなるのってそんなない。ステーキか、ホットケーキぐらいなものだ。
2017/05/04
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