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打ちのめされた心は

打ちのめされた心は

打ちのめされた心は

作家
フランソワーズ・サガン
河野万里子
出版社
河出書房新社
発売日
2021-11-30
ISBN
9784309208435
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打ちのめされた心は / 感想・レビュー

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アン

フランス、トゥーレーヌの田園地帯に建つ大邸宅「ラ・クレソナード」で繰り広げられる人間模様。自動車事故で奇跡的に生還するも自信を失った跡取り息子リュドヴィックと冷酷で美貌な若き妻。ブルジョワ家族が暮らす屋敷に若妻の母親ファニーが来訪し、孤独なリュドヴィックは彼女の魅力に惹かれていきます。喪の悲しみ、無関心と欲望、復活と幸福。孤独と愛を切なさとユーモアで包み、儚く傷つきやすい心を時に鋭くクールに見つめ、甘やかな香りを放つサガンの世界。未完の作品であることが惜しまれますが、この続きは優美さを纏って微笑みを。

2022/01/26

アキ

1954年「悲しみよこんにちは」で鮮烈なデビューをし、2004年に亡くなったフランソワーズ・サガン。彼女の未完の遺稿を息子が編集し、2019年に出版した。フランス文学界で話題になった書。物語はトゥーレーヌ地方の金持ちアンリの息子リュドヴィックと、その義母ファニー・クローリー夫人のスキャンダラスな恋を軸に展開する。主人公が交通事故で生死の境を彷徨い、精神病患者として帰ってくる姿が、著者に重なって見える。いかにも愛と性が主題の軽いタッチのフランス文学。

2022/01/16

星落秋風五丈原

事故で重傷を負い妻からないがしろにされているリュドヴィックと義母ファニーとの道ならぬ恋。リュドヴィックの父がアンリが結婚してるのにファニーに恋。この「打ちのめされた心」というのはリュドヴィックの今の状態のことなのか、アンリがファニーとの結婚を発表したこの後書かれる状況のことなのか。

2022/08/25

くみこ

未完の遺稿とはいえ、今になってサガンの小説が読めるとは。フランスの田舎で繰り広げられる人間模様。見事な自然描写や人物一人一人の造形の素晴らしさ、そして何より恋に落ちる瞬間の美しさは、何十年も前に夢中になったサガン作品そのものです。滑稽で孤独で美しい人生の物語でした。ぷっつり途切れるように終わっているので、後は好きなように想像するしかありません。相応しいのはハッピーエンドではなく、少し皮肉で寂しい結末でしょうか。

2022/06/29

テツ

サガンの死後かなりの年月が経ち発見された原稿を息子さんが修正し世に出したらしい。フランスの片田舎で繰り広げられる人間模様と恋。それぞれが幸福を追い求める姿や、自らの意思や思考とは関係なく恋に落ちる瞬間のどうしようもない美しさとやるせなさなど、ある程度生きてきた人間の多くが身に覚えのあるありきたりな内容ではあるけれど面白かった。文学は話の大筋だけが肝ではないというのがよくわかりますね。未完の作品なので途中でぶつ切りのような形で終わりますが、突然の終わりが余韻を高めてくれていて、これはこれで素晴らしい。

2022/08/13

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