唐突ながら: ウディ・アレン自伝
唐突ながら: ウディ・アレン自伝 / 感想・レビュー
アキ
スキャンダルのせいでハリウッドから干されているウディ・アレンだが、あの偏屈で神経質な風貌から語られる彼のコメディアンから映画の世界に至る人生はとても興味深い。あちこちに話が飛び、大袈裟な例えは映画の世界そのもの。彼の映画では「それでも恋するバルセロナ」「教授のおかしな妄想殺人」が好きな作品だけど、アレンの好きな作品はテネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」だと何回も出て来る。「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」はアメリカでは公開されず「リフキンズ・フェスティバル」以降映画を撮っていない。現在86歳。
2023/03/16
ぐうぐう
すこぶる面白い。アレン自身が本書で言及しているように、彼の半生は決して激動に彩られたものではなくて、どちらかと言えば運に恵まれ、とんとん拍子で展開しているのだけれど、なのにこんなに面白く読めてしまうのは、アレンの語り口にこそ理由がある。決して自惚れず、それでいて斜に構えすぎず、淡々と、と同時にユーモアたっぷりに綴られるアレンの半生は、それこそ彼の映画を観ているようで、滑稽さと深刻さが同居しているのだ。自らの人生を振り返って、それを肯定も否定もしない彼は、ただ「幸運に恵まれていた」と記す。(つづく)
2024/06/24
斉藤フィオナ
アレンが自分の生い立ちや出来事をあちこち脱線しながらしゃべり倒すのを文字に起こしたような本。半分以上は彼の人生後半に起こったスキャンダルのあらまし、顛末について。それも仕方がないか。私が大好きな「マンハッタン」のオープニングの花火が偶然撮れた話、今でも良き友人であるダイアン・キートンとの関係(キートンの本名がダイアン・ホールだったとは!)がうれしい。ブルックリン育ちのアレンがマンハッタンに憧れたその気持ちに「マンハッタン」公開当時14歳だった自分が共感?できたこともまたうれしい。
2023/07/29
fritzng4
ウディ・アレン自らの言葉で振り返る80余年の人生。訳文ですら思わず笑ってしまうユーモアの連続で、あっちこっちに話が飛ぶので些か読みづらい部分もあるのだがとりわけ前半が面白い。56-58ページに彼が未だ読んだり見たりしていない、あるいは好みでない小説や映画がリストアップされているがこれが意外。ミア・ファローと性的虐待疑惑に関する言及も思ったより多い。才能ある映画監督の晩年がこのスキャンダル抜きにして語れなくなってしまったことは残念だが、スン・イーをどれだけ愛しているのかは手にとるようにわかる。
2022/12/25
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