滅ぼす 下
滅ぼす 下 / 感想・レビュー
starbro
ミシェル・ウエルベックの最長編、上・下巻、650頁弱、完読しました。仏大統領選の投票結果がクライマックスかと思いきや、最後は壮絶な夫婦の愛の物語でした。翻訳物、今年のBEST20候補です。私読書史上、最長時間(約3時間)のフェ●チオシーンが登場しました(驚) https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309208886/ 【読メエロ部】
2023/08/25
やいっち
法外な(?)期待に背かぬ作品。(主に欧米だが宗教や経済、政治など)世界の動静、科学技術、(夫婦や家族親族といった)男女の有り様など、卑近から高邁に渡る視野と関心(取材勉強)が土台になった構想力がある。「素粒子」に衝撃を受けて以来のファンとして今後も期待大。
2023/10/30
どんぐり
植物状態から脱した父親の介護ときょうだい間の家族関係に綻びと絆をみせながら物語は進んでいく。セックスレスから妻との夫婦関係を取り戻したポールは、突然がんの診断を受ける。腫瘍を切除する積極的な治療選択があったにもかかわらず、生きる意欲も意義も放棄して従容として死を受け入れてゆく。生きることに足掻くこともないので、彼の行動規範は少しわかりにくい。このニヒリズムはどこから来るものなのか。人生の終焉を迎え、「私たちは生きることにあまり向いていなかったね」と夫婦で語り合う輪廻転生。涅槃(ニルヴァーナ)の境地か。→
2023/09/11
syaori
下巻では、上巻に続き主人公ポールを巡る様々な出来事を通して、欧州の移民問題や「ありえない」高齢者福祉の現状、「利潤の誘惑が他のすべての人間的な動機に取って代わ」れるという信念の果てに「虚脱状態に陥ろうとしている」現代の姿が炙り出されます。本書はそんな「死を宣告され」た西欧近代の物語であると同時に、その世界を生きようとする人間、ポールの物語でもあり、近代以降の西欧を支えた啓蒙主義や自由主義、合理主義、生と性と死についての作者のシニカルな哲学が巧みに昇華されているにも関わらずとても暖かなものが胸に残りました。
2024/01/19
Vakira
3度目のテロ攻撃は殺戮行為。移民船爆破。当然、乗船していた移民は命を落とす大惨事となる。テロの首謀者、テロの目的は何?大統領選どころではない。予想していた素数はKeyではなかった。悪魔の五角形☆マーク。下巻ではこれが謎解きのKey。ミステリーの行き着く先は?滅ぼされるのは何だったのか?国家、社会的地位、ファミリー、夫婦間。妻は愛すべき存在。正常位も後背位も性運動の主導は男性。君の様に騎乗位なら女性主導。求める者が動けばいい。なんて、愛と体位を考える。滅びるのは?この世に時間のある限り全ての物は滅びるのです
2023/12/13
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