名前のない人 (The Best 村上春樹の翻訳絵本集)
名前のない人 (The Best 村上春樹の翻訳絵本集) / 感想・レビュー
KAZOO
オールズバーグの絵本は本当に不思議な雰囲気をかもし出してくれるものが多いです。さらにこの物語では、ぶつかってしまった人物が不思議な人で言葉もしゃべれなければ人間社会の生活感を持っていない人物です。大人の人は予想がつくのでしょうが、子供だと不思議がるのかもしれません。楽しい物語です。
2019/04/11
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
秋の風景が美しい幻想的な絵本。農夫のベイリー氏は、自宅付近で一人の男を車ではねてしまいます。家に連れ帰りますが、言葉も話せず、自分の名前さえ覚え出せません。医師の診断は「記憶喪失」。やむなく居候させることになります。言葉は話せないものの、穏やかな性格の男は家族に溶け込んでいきます。でも彼の周りでは不思議な出来事が続きます。〈今年の秋は何かがおかしい……〉。ある日、小高い丘の上にのぼったベイリー氏は自分の目を疑います。赤やオレンジに色づく秋の風景が広がる中、家の周りの木々だけは緑のままだったのです……。
2015/03/01
ムッネニーク
99冊目『名前のない人』(クリス・ヴァン・オールズバーグ 著、村上春樹 訳、1989年8月、河出書房新社) オールズバーグらしいパステル画が読者を奇妙な世界へと誘う。 表紙のインパクトの強さはまるでホラー作品のよう。実際、序盤はまるで怪奇物語でも始まるかのような不穏さを携えているが、ストーリーが進むにつれてその風合は徐々に変化してゆく。物語の内容とマッチするように、イラストの色調は全体的にほんのりと赤みがかっている。この色使いの巧みさは流石の一言。 〈「また来年の秋にね」と〉
2024/07/23
キムチ
当然ながら、絵がとてつもなく好み。画の背後に吸い込まれそうな引力を覚える。原題は「The stranger」だけど...。時の流れを止める力を持った不思議な男。表紙の大きく見開いた眼。自身の力を認識してなさそうな、ナチュラルな優しさがあるような温度感。動物が本能で擦り寄りたくなるような空気を持っているのだろうか。桃源郷に入り込んだような読書タイム。また、次作を手に取ろう
2023/09/22
ケイ
村上春樹訳オールズバーク三作目。発売が30年近く前で春樹氏の翻訳歴にも驚く。全編、漢字が多く、フリガナがない。読み聞かせ専用?もしくは大人のための絵本だろうか。原題の「stranger」の方が内容にしっくりくる。彼を受けとめる家族の態度も、彼自身の不思議さも。彼が自然にもたらすものとその意味について何度も考えた。子供はすっきりとわかるのかな。
2014/04/20
感想・レビューをもっと見る