ハリス・バーディックの謎 (The Best 村上春樹の翻訳絵本集)
ハリス・バーディックの謎 (The Best 村上春樹の翻訳絵本集) / 感想・レビュー
やすらぎ
このたった一冊の絵本から数多の物語が生まれたのか。一枚の絵と題名、一文しかない十四の物語。靄の先に何があるのか。夜明けの風が止まない限りもう戻ることはできない。少年の旅はまだ始まったばかりだというのに、もう過酷な判断を求められてしまうのか。誰だい君は?急に鼓動が響いてきた。ドアノブが回ったのだ。雪深い森の中、小さなドアがなぜか光で照らされた。もうここには誰もいないはずなのに。この絵本を夜に読んではいけないのに、なぜ少女は開いたのか。別世界への扉を明けてしまったのだ。不思議と感想が溢れ、とても書ききれない。
2023/04/22
KAZOO
「初めに」というところで書かれているのが本当のことかあるいは全体が物語なのか、という謎が提示されます。モノトーンの色調の絵が14枚掲載されています。物語がそれぞれあるのでしょうが。年代記という本も読まないと何が何だかあまりわかりません。ただ絵を眺めて想像するのもいいですね。
2016/03/17
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
【色彩の魔術師】と呼ばれるパステルの画風を封印し、モノクロームで暗示的な雰囲気を醸し出しています。〈監修者〉の役割を演じているオールズバーグ氏が書いた〈まえがき〉こそが物語の仕掛けです。30年前、〈ハリス・バーディック〉と名乗る男が児童書編集者を訪れ、14枚の絵を託します。編集者はその絵に魅了されますが、それ以降絵描きの足取りは途絶えてしまいます。彼の絵にインスパイアされた人々が言葉を添え、30年の時を経て刊行された〈幻の絵本〉が本書という設定。読む人が別の物語を紡ぎ出せそうな幻想的な魅力に満ちています。
2015/03/01
ケイ
河合隼雄氏が村上春樹の訳している絵本ということで紹介していたので、手に取る。これはとてつもない、度肝を抜く絵本だ。それは、「はじめに」を読んで、頁をめくるとわかる。そして、この題名の付け方に唸らされるのだ。そもそも「はじめに」で、オールズバーグ氏が語ることは真実なのか?これも絵本の一つの世界なのか?絵をみて確かめなくては。オールズバーグ氏による他の絵本も読もう。村上春樹氏の意見も聞いてみたいな。
2014/04/07
キムチ
読んだ?いいえ、視た!心の奥をぐぃっと鷲摑みして、押しつぶしそうな圧を感じた。一回見ただけでは、余りにも持っているもの、伝えんとしたものが(しかとはわからぬまま)大きくて、心の引き出し・・元へ・・クローゼットに収納することに。ときどき、視て、深奥を除いてみることに。オールズバーグ、彼自身もよくわかっていないのに、その方がなぞという方!地球にかつて存した人とは言え、余りにもグレーなゾーン。さしもののハルキ氏訳は傍にいると言ったら、申し訳ないか。でも過でなく乏でない十二分な言葉。後より4枚目の少女の瞳が戦慄
2023/12/15
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