ハリス・バーディックの謎
ハリス・バーディックの謎 / 感想・レビュー
のっち♬
謎の人物バーディック氏による十四の話のための絵を複製出版という体裁。それぞれに連関性はまったくない。内容はモノクロの絵と、それに対する簡単な説明のみで構成される。それが一筋縄では全くいかない。絵を見て、文章を見て、その関係を想像してというサイクルが一瞬で何周もしてしまうほどにシュールで、神秘と暗示に富んだアプローチはストーリー性も同時に表出させる。これには落ち着いたトーンのモノクロ画に観る者を惹きつけて止まない美しさとリアリティが共存しているためだろう。読み手に物語の再構築を持ちかける極めて挑戦的な絵本。
2024/05/08
Willie the Wildcat
読み解こうとする呪縛からの解放。1つ1つの”作品”に、読み手が広げる自由な世界。起承転結、どの描写と捉えるか。喜怒哀楽、どんな心情と解釈するか?『別の場所で、別の時に』、『ハープ』、そして『トリー船長』を選定し、繋げてみた。旅立ち、別れと道標、そして再会。次に、1作品だけ選定して空想してみる。選んだのは『七つの椅子』。頭に浮かんだのが、ドラゴンボール。嗚呼、些末な想像力、自省。
2021/11/07
けんとまん1007
不思議な光を感じてしまうデッサン画。村上春樹さんの短い一言が、それをさらに深める。見る人の想像をかきたてる力がある。自分も、この絵の中に入ってみたいと思った。
2018/01/15
アキ
謎の人物ハリス・バーディックの14枚の絵。子どもたちの目にはどんな風に映るのだろう。どの絵もこれから物語が動き出しそうな、不気味なものや、不思議で、空想的なものばかり。オールズバーグの絵と村上春樹の訳。「天才少年、アーチ―スミス」の少年の寝顔。「七月の奇妙な日」のキラキラした水面。「リンデン氏の書棚」で本から伸びだす不気味な草。「七つの椅子」空飛ぶ椅子に座る修道女。「三階のベッドルーム」飛び出しそうな壁紙の鳩。「そんなことやっちゃいけない」不気味な女の顔。「メイプル・ストリートの家」の発射する家が好み。
2019/12/29
鷺@みんさー
不思議な作家が残していった一枚絵に、見た人たちが短い物語をつけた、という体の不連続ストーリー絵本。ちょっとゴーリーチックかな。物語と言っても、タイトルと二行のみ。【招かれなかった客】「彼の心臓はどきどきしていた。ドアの取っ手はたしかに回ったのだ」とか。不可思議で、不条理で、なんとなく不穏。引き続き「ハリス・バーディック年代記」を読みたい所存。
2018/07/09
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