さっちん: オリジナル版
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さっちん: オリジナル版 / 感想・レビュー
アキ
この写真が撮影されたのは、昭和37年頃。千葉大学工学部の卒業制作で撮影したものが、昭和39年第一回太陽賞を受賞した。さっちんは小学4年生。さっちんこと星野少年から荒木経惟はのぶちんと呼ばれていたらしい。写真は撮る人を写す。さっちんはのぶちんなのである。「ぼく強いんだ 早いんだ いちばんうまいんだ」「それ!鉄人28号出発だ」「どうだい かっこいいたろ」キャプチャーも当時のまま。50年以上経て、再出版された写真集。今はどこにもない下町のやんちゃな子供たちの表情が、なぜかとても懐かしく同時に寂寞感を感じさせる。
2024/05/26
立花孝志大嫌いおじさん・寺
天才アラーキーの初期の写真集。とてもいいと思う。私は写真の良し悪しはわからないのだが、アラーキーの写真は漫画や物語のような面白いものとして見る。この写真集も絵本のように楽しいものとして見た。かつてアラーキーが仲良くなった小学生・さっちんを1年かけて写したものである。さっちんのみならず、彼を取り巻く他の子供達もあどけなくて可愛い。今の子供よりもモッサリして垢抜けないぶん可愛い。サザエさんやドラえもんに出てくる子供達というのはこういう子達である。だからこれらの漫画の子供は今の子供と断絶しているのである。
2017/09/24
keroppi
何でこれがオリジナル版かというと、太陽賞を受賞したネガは、紛失していて、1994年新潮社版は、アウトテイクからセレクトしたもので、これは過去の雑誌から復元した、正真正銘のオリジナル版なのだそうだ。技術の進歩は凄い。復元された写真のエネルギーは、凄い。今は見ることのない表情豊かな子供たちもさることながら、それを活写した若き荒木経惟さんの眼光は鋭い。
2018/08/02
むぎじる
1964年の作品集を再刊行するにあたり、古い雑誌から起こして印刷されたと書かれていた。現代の技術に驚く。小学4年のさっちんの表情は、子どもらしい無邪気さと、大人を思わせるシニカルさと、くるくると多様に変化する。朝起きて日が沈むまで力一杯遊び、疲れ果てて燃料が切れたようにコトリと眠りにつく。がむしゃらで濃い1日を送っていた子ども時代を思い出す。
2018/12/23
gtn
廃墟のようなアパートを前にして暴れまわるさっちん。庶民の力強さが溢れている。この写真集を原点とする著者を全面的に信用する。
2020/02/15
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