魔術的芸術: 普及版
魔術的芸術: 普及版 / 感想・レビュー
コットン
絵画を文章で説明するのは簡単でも、その中にある精神的なものに迫るのは難しいと思うが1957年にフランスでの限定版を読んだ人の衝撃は凄かっただろう思う労作。例えば、どちらも既知のヒエロニムス・ボスとダ・ヴィンチが同時代人だったのも面白いし(そう言えば『美学美術史』の授業時に教授の説明を聞いていたのを思い出す。)ボスの『狂気の石の摘出』とデ・キリコの居眠りしている男の『子どもの脳』との関連性、アンリ・ルソーの魔術的リアリズムの説明も興味深い。魔術と芸術をキーワードに過去から現代まで網羅する手腕が冴えている。
2020/09/13
やいっち
数年ぶりの再読。 アンドレ・ブルトンはまだ知らず、ジークムント・フロイトに凝り出し、ジョルジョ・デ・キリコ、マックス・エルンスト、サルバドール・ダリ、ルネ・マグリットに魅入られ始めていた高校から大学生の頃に本書に出会っていたなら、さぞかし感激したかも。このころは、ピカソ、ブラック、ピカビア、デュシャンなどにはあまり関心が持てなかった時期でもある。パウル・クレーにゾッコンだったのは学生時代か。
2024/08/06
やいっち
本書は、新装版と銘打っているように、最初に刊行されてから最早半世紀を経ている。 シュルレアリスムの主導者のブルトンの面目躍如の本。 といっても、執筆(全五巻の美術史シリーズの一冊『魔術的芸術』)を依頼されて快諾したものの、いざ取り掛かってみると、相当に難儀したようで、当時若手のジェラール・ルグランの協力を仰いだ。題名の magic は魔術と訳すか、呪術と訳すか。ブルトン自身は、必ずしも意味的に限定はしていない。自由に捉えることで、芸術を広く捉えようとしているのかもしれない。
2018/09/02
∃.狂茶党
本書はつまり、生きている芸術、本文から拾うなら、野生の芸術についての本である。野生は根源につながり、切れば鮮血の出るものである。 ブルトンの基本的嗜好は、澁澤龍彦を通し既に受け入れていたので、ある種の確認のような読書となった。 残念ながら、廉価な今回の普及板では、アンケートが割愛されているために、本書のもう一つの中心が欠落している。 どこかでアンケートだけ読めないものだろうか?
2021/05/05
月
Livre préféré ★
2017/12/17
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