東西不思議物語 (河出文庫 121A)
東西不思議物語 (河出文庫 121A) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
博覧強記の渋澤龍彦氏が東西のミスリアスな現象を紹介していくエッセイ。オカルトが好きな私にはたまらなく面白い本で、読み終えるのが惜しいと何度も思った。一つ一つのエッセイが短いのが残念だが、読者はここに書かれていることを土台にして自分の空想の翼を羽ばたかせることができるだろう。こういう本を読むと、渋澤氏は不思議なものに心をときめかす童心を失わなかった人物だったことが分かる。36では歌人の西行が人造人間を作ったことが紹介される。このエピソードには不気味なところがあり、一番面白く感じた。
2018/08/02
kinkin
再読本。もう40年以上前に毎日新聞の日曜版に連載されていたことを覚えている。そのころは澁澤龍彦氏のことはほとんどしらなかった。しかし今読み返すと独特の怪しさと奇異さ、そして膨大な資料と知識に裏打ちされた作品群に圧倒される。それは現代社会の奇譚とは違った読後感がある。まったく古さを感じさせない。古今東西なかには到底ありえない話も多いのだがそこは氏の力量、読み手を飽きさせない。原色の世界ではなく繊細な中間色をイメージさせてくれる本が好きだ。
2020/03/01
YM
澁澤先生が、世界中の不思議なお話を軽い語り口で、驚いたり楽しんだりさせてくれる本書。ゴッサマー、ちん・ちん・こばかま、ウツボ舟の女、トラツグミ、栄光の手など色々勉強になった。あとがきにもあったけれど、澁澤先生はこのあたりからヨーロッパだけでく、日本にも興味がではじめたらしい。後のねむり姫、うつろ舟、高丘親王への流れが見てとれて嬉しかった。にしても先生はどんだけ不思議なお話を読み漁ったんだろう。引用元が幅広すぎて全然ついてけない。。
2015/01/30
ヴェネツィア
本書はかつて毎日新聞の日曜版に連載されていたのを纏めたもの。そうしたメディアであったために、いつもの澁澤に比べると、ペダントリーの拡がりにはやや乏しい。だが、まあそれも仕方がないといったころか。タイトルに東西とあるように、西欧の、はたまた日本や中国の文献が多数登場してくるが、感心するのはこんな文献までと思われるようなものまで網羅していること。今回は、特に日本の古文献にそれが目立つ。木村兼葭堂『兼葭堂雑録』、大田南畝『半日閑話』、大江匡房『狐媚記』、洞院公賢『拾芥抄』など、まさしく縦横無尽だ。
2013/04/02
鱒子
ひとつのテーマに沿って、東西の不思議を語る構成。日本人でありながらヨーロッパの神秘に造詣が深い 澁澤龍彦氏ならではの作品。センスの良い文章で、ほの暗いロマンと色気が漂います。大好きだ。
2023/02/04
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