黒魔術の手帖 (河出文庫 し 1-5 澁澤龍彦コレクション)
黒魔術の手帖 (河出文庫 し 1-5 澁澤龍彦コレクション) / 感想・レビュー
夜間飛行
《神はこの樹の実を食う事を禁じ、人間を永久に無知の状態に置こうとしたのである。蛇のおかげで人間は知識を得、邪悪な神に闘いを挑めるようになった》…このカバラ派の原理によれば、基督教は女性の役割を無視し、自然を悪しき存在に貶めたことになる。それが本当なら駆逐された悪の側にちょっと肩入れして、そこに「術」という筋道をつけたくなるのも人情というものだ。例えば記憶術に発するタロットもその一つで、これはアルス・メモリアのように固定した教義はなく、一枚一枚が不断の運動を表す。そうして排除された生命を目覚めさせるらしい。
2018/05/03
優希
かなりマニアックですね。カバラ、占星術、錬金術、妖術、サバト、黒ミサといった属に黒魔術と言われるオカルティズムをめぐる様々なエピソードが紹介されています。強烈なインパクトがある奇妙で怪しい歴史書と言えますね。このようなことが事実あったのでしょうか。巻末のジル・ド・レエの残虐の限りが怖過ぎます。この手のジャンルを知る上では興味深い1冊でした。
2014/12/21
Tomoichi
世の中には色んな人がいて、色々なものに興味を持って調べたりするものだ。この本も奇才澁澤龍彦が黒魔術について古書などを調べて書き上げた西洋の裏面史。「ジル・ド・レイ候の肖像」を読むと黒魔術が彼に与えた影響よりも戦争が与えた影響が気になる。今で言えばPTSDだろう。ヨーロッパのキリスト教も土俗化する上で原始キリスト教とは別物になったことが本書を読むと感じられる。
2019/04/07
有理数
非常に面白い本で、自分の中の好奇心や怖いもの見たさが随分と刺激された一冊。呪い、魔術、ホムンクルス、錬金術、占星術、秘密結社、悪魔……なんだか字面だけでぞくぞく来るようなワードが並んでいて、そこに澁澤の知識と知見がこれでもかと詰め込まれ、わくわくしました。文献の引用も豊富。またジル・ド・レェに多く頁が割かれていて、その思想、行動に度肝を抜かれます。黒魔術。やっていることはともかく、こんな時代があったのだなあ、と幻想に思いを馳せる。いいなあ、ロマンだ……。
2017/09/03
そふぃあ
ゼミでボルヘスの論文を書いた時にカバラの本を読んだけどさっぱりだったのが、本書でさっくりと書かれていて嬉しかった。オカルティズムは面白くて好き。
2018/07/09
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