応為坦坦録 (河出文庫 231A BUNGEI Collection)
応為坦坦録 (河出文庫 231A BUNGEI Collection) / 感想・レビュー
メタボン
☆☆☆★ 作家のデビュー作にしては、完成された作風。さばさばとした文体も心地よく、老練な落語を聴いている風情。葛飾応為のキャラクターによるところも大きいが、魅力ある作品。山本昌代がすっかり書かなくなってからもう20年にもなるか。
2022/03/10
おか
朝井まかて「眩」の予約順が やっとくるので その前に読友さん紹介のこの本を読了。北斎(鉄蔵)と娘応為(お栄)の物語。お栄が四十前 鉄蔵が84歳から始まり 鉄蔵98歳の没年迄を駆け足で描いている。語り口が良い、まるで落語を聞いているようだ^_^梅じいさんとお栄の会話なんて まるでご隠居と熊さんの会話だ。応為の雅号も鉄臓がお栄を「おーい、おーい」と呼ぶのでそうなったなんて最高^_^薄い本なのですぐ読める、関心のある方は読んでみて下さい。最後の一文「生きているうちに忘れられた人間は、死んだ後では➡︎続
2016/08/30
ひこまる
山田風太郎「八犬伝」から葛飾北斎に興味を持ちこの本に辿り着いた。「八犬伝」には登場しない北斎の出戻り娘、葛飾応為(お栄)の日常を「坦坦」と描いた作品だが…飄々とした人物たちの描写や生活感、落語のような掛け合いなど自分も北斎親子の近所に住んでいると思わせてくれるような空気感が何とも心地よい。お互い口は汚いが北斎臨終まで何とも絶妙な親子で久々に清々しい読後感を味わえた。作者の執筆当時の年齢が23歳ということに驚き。そしてここ10年以上著作がないとのことは何だかお栄に重なる。
2012/11/06
salty orange
杉浦日向子さんの「百日紅」もよかったが、2人とも、どこでそこまでお栄さんのこと知ってるん?ってくらい、生き生きしたキャラ。出戻りで、身なりに気を配ることなく、こ汚い家でも平気な父の北斎とのきままな暮らし。でも、数少ないらしい女性絵師であり、絵に描ける情熱は父を超えるものがある様子が描かれている。作者さん、そこまで知ってるん?と突っ込みたくなるくらい。 数少ない、北斎のムスメのお栄さんを描いた楽しい作品。
2012/01/01
ミエル
北斎の娘であるお栄についての日常。杉浦日向子の百日紅とリンクするような場面も多く、人間としての暖かさとやさぐれた娘っぷりが愛らしい。お栄と父の「師弟関係よりも親子関係が強い」という雰囲気が、いかにも父と娘らしくほほえましい。父と息子ではこうならないだろう雰囲気に魅かれた。
2014/10/01
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