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魚たちの離宮 (河出文庫 な 7-5 BUNGEI Collection)

魚たちの離宮 (河出文庫 な 7-5 BUNGEI Collection)

魚たちの離宮 (河出文庫 な 7-5 BUNGEI Collection)

作家
長野まゆみ
出版社
河出書房新社
発売日
1993-07-05
ISBN
9784309403793
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ジャンル

魚たちの離宮 (河出文庫 な 7-5 BUNGEI Collection) / 感想・レビュー

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夢追人009

8月12日~15日の盂蘭盆の四日間に親友・夏宿(かおる)とその弟・弥彦(やひこ)の住む家に泊まりに来た主人公・市郎(いちろう)の奇妙な体験を描く幻想奇譚小説ですね。他にも家族の父、祖母と弟のピアノ教師の男が出て来るのですが、殆ど物語に参加しません。難解な物語で最後まで読んでも完全には理解できない点が多々ありますね。この物語に存在するが表に出ない3人が何故事情を何も話さないのか?とか、兄弟の真実の関係はどうだったのか?ですね。でもまあ過去はどうであれ今では夏宿は全てを水に流して弥彦を許しているのでしょうね。

2020/11/23

優希

強い想いから起きた夏の出来事が描かれていて、現実とかけ離れた世界を感じました。死の匂いと昏さの中に光る紺碧の水。この世のものではない雰囲気が全体を包み、幻想の世界へと誘っていきます。盂蘭盆の4日間に渡り、彷徨う魂と少年たちの交わりが美しかったです。黄泉で戯れるような雰囲気が体の中に沁み込んでいきました。

2016/01/20

おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…

86/100点 盂蘭盆の4日間の少年たちを描いた美しく切ない幻想的な物語。長野さんの魅力的な美しい文章で紡ぎ出される静謐でほの暗く冷気を感じさせる世界観。交わされる少年たちの噛み合わない会話が、より不思議で幻想的な雰囲気を醸し出す。そこに漂うジャスミンの香りと、見え隠れする少年愛の気配…。何が現で、何が幻か、すべてが曖昧で儚いまま、紅い送り火とともに現と幻が溶けあった世界が終わりを迎える…少年たちは何処へ…全てを語らず読む者の想像力に委ねた終わり方…。この季節に何度でも読み返したくなる素晴らしい作品です。

2018/08/15

青蓮

何度読んだか解らないくらい、好きな作品です。夏に読むつもりが本が手元になくて冬になってしまいました。雨水から滲み出るような、静かな青色に彩られた幻想的な夏の物語。夏至南風も夏の物語ですが、それとは対極にあるような作品かな。長野さんの紡ぐ言葉の美しさは絶品です。思えば思春期の頃、沢山の美しい言葉を長野作品で覚えたのでした。また夏に読み返したいです。

2015/02/02

ちょろこ

冷たさの中にしばし取り残されたような一冊。今まで読んだ長野さんの作品の中で一番好き。終始、仄暗く冷たい、でも透明感のある水底の世界にずっといるようで、絶えず心は冷んやり、読後もなかなか水底から浮上できない、取り残されたような感覚。この感覚に心をざわつかせられ、おもいっきり酔わされた気がする。夢か現か…なんて、この物語の解釈はいらない、したくはない。冷たさと美しさともの哀しさが漂う静謐なこの世界を彼らのために今はそっとそのままにしておきたい気分。

2018/08/15

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