マイ・バック・ページ: ある60年代の物語 (河出文庫 か 5-2 BUNGEI Collection)
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- 作家
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 1993-11-01
- ISBN
- 9784309403915
マイ・バック・ページ: ある60年代の物語 (河出文庫 か 5-2 BUNGEI Collection) / 感想・レビュー
あかさ
昔は学生運動が活発だった。話は聞いたことがある。でも歴史の一部のようで現実味がなかった。でも読んでいるうち、その臨場感に引き込まれた。同時代性は持っていない、でも彼らの自己否定が生んだ熱い闘争の悲しい結末には、なんだか茫然とした。暴力を伴う運動がいいとは思わない。しかし彼らの熱気にはただただ圧倒され、単純にすごいと思った。あさま山荘事件の本も読んでみようと思う。ジャーナリストとしての川本さんを説得したお兄さんの言葉が印象に残っている。クリス・マイケルの『サン・ソレイユ』や清岡卓行の詩「青空」もよかった。
2011/05/25
Hiro
著者を、旅好き、本好き、音楽好きの、いいご身分の趣味人のように思っていたのはとんでもないお門違いであった。率直に随分と苦労されたのだなと思う。私はひと回り以上も若くて、本書のような学生時代を共有していないけれど、それでもキャンパスにタテカンやらヘルメットに覆面の学生やらがいて授業はのんびり、生活はおおらかだった。学生から社会人の頃の若者特有の独特の緊張感、向上心と慢心と劣等感と不安と自負心を抱えて、無我夢中で現実にぶつかっていた時のヒリヒリするような感じが本書からは伝わってくる。大いに共感し励ましを得た。
2022/11/03
ペタル
憎きK。でも、こういう人は確かにいる。社会に出ると、自分の価値観からは到底考えられないような思考の人がいる。良い意味でも、悪い意味でも。今回のケースでは、ジャーナリストのモラルを掲げて守ろうとしたのが最悪の結果を招いてしまった。結果が残念であるとともに、そこに誘導されてしまった当時の作者の気持ちを考えると、これ以上戦いたくない気持ちはさぞかし痛くて、やりきれなくて、そして理不尽だったろうと思う。しかし、当時のことをこうして他人に伝えることができたことに新しい価値を見出せたのではないかと思う。
2011/04/04
hiratax
近所のリサイクルショップ店頭のラックで見つけて、鈴木いずみの項に切なさが極まったが、買わずに、図書館へ借りに行った。川本三郎の名を知ったのも初めて。それほど金がなかった時代の記憶である。23歳で読めたのはいい契機ではないか。
2005/07/07
ぱーぷる・ばんぶー
著者が雑誌記者であった東大安田講堂の攻防戦の69年から連合赤軍事件の72年の回想録。自身が記者を解雇されたきっかけとなった朝霞自衛官刺殺事件が後半のクライマックス。中津川フォークジャンボリーの安田南のステージや作家デビュー前の鈴木いづみの朝日新聞への投稿についても書かれているのが興味深い。
2010/05/18
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