警視庁草紙 下 (河出文庫 や 4-7 山田風太郎コレクション)
警視庁草紙 下 (河出文庫 や 4-7 山田風太郎コレクション) / 感想・レビュー
林 一歩
何となく読まず嫌いで避けてましたが、滅茶苦茶面白かった。図書館に沢山並んでいたので順番に読んでいこうと思います。
2013/04/25
まめこ
★★★★☆下巻は警視庁の親玉、川路大警視が不気味な存在感を見せ始め、ご隠居のちょっかいもなかなかすんなりときまらなくなる。「皇女の駅馬車」の爆走に笑いながらも、不穏が滲み落ち着かない。それでも兵四郎自身が思わず呟いてしまう程の「随分ご都合主義な」展開や「恋の奇蹟」(笑)と政府が画策する西南戦争など硬軟合わせた風太郎版明治を堪能!苦手な近代史、ちょっと興味がもてたかも?
2018/07/29
さっと
川路大警視率いる警視庁と元南町奉行の駒井相模守・元同心の千羽兵四郎による知恵比べによる連作短編も回を追うごとに双方が意識するようになり最後はハラハラドキドキさせられた。オーラスには幕末の巨人・西郷隆盛を首魁とする西南戦争が据えられているが、それに同国人でありながら新政府の一員として対峙する川路大警視のおそろしさ(うまいなあ!)と“芋征伐“と気勢を上げる旧幕(朝敵)の人々の身の振りようが何とも言えない。。。
2022/04/18
カミツレ
物語に吸い込まれ、読後しばらく虚脱状態に陥った。「死に甲斐を見つけたことは生き甲斐を見つけたこと」なんて、男は馬鹿なことを言うものだ。でもそんな男たちの闘争心と野心こそが歴史を作る原動力なのかもしれない。どうせ全ては時に押し流されるのに。山田風太郎作品を続けて読むと戦中派ならではの歴史観、死生観が染み込んできて、心が諦観と虚無感に浸されそうになってしまうのが少し辛い。でも最高に面白い小説だった!「吉五郎流恨録」から後はまさに「巻を措く能わず」だった。
2011/09/01
散歩いぬ
元南町奉行で隅のご隠居こと駒井相模守は、作中で何度も言う。「この世を変えるほどの活躍があった者でも、その時が終わればただの人となり、生きている限りは生きて行かねばならぬ。」歴史的運命が終わった者、これから死に花を咲かせようとする者…幻燈辻馬車以上に錯綜する人間曼荼羅にクラクラ。哀切極まってゆく途中、ユーモアが浮かんでは消える。やっぱりこれがなくっちゃ。
2011/03/05
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