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夏至祭 (河出文庫 な 7-8 BUNGEI Collection)

夏至祭 (河出文庫 な 7-8 BUNGEI Collection)

夏至祭 (河出文庫 な 7-8 BUNGEI Collection)

作家
長野まゆみ
出版社
河出書房新社
発売日
1994-05-01
ISBN
9784309404158
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ジャンル

夏至祭 (河出文庫 な 7-8 BUNGEI Collection) / 感想・レビュー

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しいたけ

精細な箱庭で繰り広げられる摩訶不思議な物語を、夏至の日に夕日の角度から覗き見た。斜めから見つめれば物語のカラクリはわかるけれど、掴めそうで掴めないでいる少年にはまだ秘密。藤紫、紅玉、銀繻子、黒天鵞絨、群青、橙、薄水青・・・物語を彩る色の洪水。花もまた然り。躑躅、野茨、梔子、薔薇、半夏生、棠梨の木、待宵草・・・。色も花も物語もルビを手がかりに読み進めれば、いつしか少年と同じく既視感の森に迷い込む。はやかった雲の流れも見えなくなり、ようやく訪れる闇の世界の美しさ。一年で一番短い夜が、いま訪れる。

2017/06/21

おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…

86/100点 長野さん初期の幻想的なファンタジー。タイトル通り、この夏至の時期に読みたいと手に取りました。スゴく良かったです!時代も場所も不明のレトロな雰囲気の情景描写とタイムリープの要素を含んだ話しに引き込まれ面白く読めました。月夜に浮かぶ芍薬畑、闇夜に散る棠梨の白い花片などの情景が、目の前に浮かんで来るような幻想的な美しい文章が素晴らしかったです。「あとがき」も長野さんの幼少期の生活が垣間見えた点も興味深かったです。この作品が『野ばら』の初期形とあったので、ぜひ『野ばら』も読んでみようと思います。

2018/06/21

ちょろこ

季節を楽しむ読書、の一冊。雨上がりの夕焼け、やがて訪れる暗闇、提灯の灯りを見つけたら、そこは幻想的な異世界。そんなシーンが自然と頭に浮かび、すっといざなわれる感覚が最高。詩的な美しい文章はもちろん、漢字表記された、普通はカタカナの数々の言葉に心がざわつき踊り、やがて沁み入り最後はちょっとした幸福感に包まれたような不思議な読後感。無邪気な黒蜜糖とクールな銀色が待っている幻想的なこの季節はこの一冊を枕元に置いて眠りにつきたい。それぐらい好みの作品。

2018/06/21

雪うさぎ

夏至の頃、夜は居場所をなくし浅い夢の中を彷徨う。時間と空間と種までもが交差する世界。羅針盤の方位計でしか見つけることはできない。一晩の宴を愉しむために、昼間は息を潜めていたものたちが集まり、猫も少年の姿を借りて現れる。瑞々しい睛、透き通った額、無邪気でまっすぐな少年の姿に魅入られる。まん丸だった月が、少しづつ瞼を閉じてゆき、弓のようにしなった夜、別れのときは訪れる。夢ではないのだ。もうひとつの宇宙が確かにある。その証拠に、少年がつけていた薄水青の清楚なリボンが、野茨の蔓に結ばれ、風に揺れているではないか。

2015/10/10

★Masako★

★★★★長野さん初読み♪夏至間近の夜、月彦は黒蜜糖、銀色という名の美しい少年たちに出会う。彼らは半夏生の夜に開かれる集会に参加したいのだが、場所を示す羅針盤を失し探しているのだという…。「路面電車は藤紫の薄闇の中を走っていた…」冒頭の一節から長野ワールドに引き込まれた。紅玉、銀繻子、黒天鵞絨、薄水青…沢山の色に溢れた温かく比喩の美しい文章は、ノスタルジックで幻想的な世界を紡ぎ出している。特に花の描写の素晴らしいこと!月彦はいつかまた黒密糖と銀色に会えるかな♪この時期何度も読み返したくなる素敵な作品だった♪

2018/06/28

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