善知鳥 (河出文庫 や 3-5 BUNGEI Collection)
善知鳥 (河出文庫 や 3-5 BUNGEI Collection) / 感想・レビュー
メタボン
☆☆☆★ 両手両足を切断され目も潰され達磨のような状態で恍惚となる「人彘(じんてい)」は呂太后のエピソードを同性愛的視線から構築した話で、これが一番強烈だった。表題作は居間で父親が狩ってきた鳥を母親がくびく場面から始まり、海岸での幼女の残虐殺人の場面を弟の導きにより姉が再現するというシュールな展開。「おばけ伊勢屋」「朝顔」「三春屋」はいずれも江戸の女郎を描いて山本昌代らしい作品。泉鏡花を思い起こさせる道行の「葛城」。これらの作品を書いたあと長い休筆期間に入るが、さもありなんとも思う狂気を感じる作品群。
2023/02/24
かふ
山本昌代は北斎の娘を描いた『応為坦坦録(おういたんたんろく)』でデビューし、江戸の浄瑠璃や謡からの短編小説。芥川龍之介のような感じだが、その短編は奇怪な話が多い。則天武后が高祖の愛人戚姫の手足を切り落とし豚のようにする極刑やらの話を違う視点から描いている。奇怪な幻想譚が好きな人向き。その後に『居酒屋ゆうれい』で一般受けするファンタジーになってしまったが、この路線はカルト作家のようで良かったような。
2023/03/11
eazy
なんだろうなぁこのおもしろさは。楽しさと薄気味悪さの不思議な同居。能や謡曲などの古典に題材をとった短編集だが、まさに「ワキの夢の中でシテが夢見る」という感じ? 蝉丸を題材にした「逆髪」のほか、「葛城」「三春屋」「朝顔」と独特の味わい。
2011/06/29
ベック
これはまた非常に好みの合う短編集だった。ちょっと皆川テイストの入ってるところも重要なポイントで
2009/01/14
cobalt
「逆髪」を再読。
2011/09/19
感想・レビューをもっと見る