緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道 (河出文庫 や 3-6 BUNGEI Collection)
緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道 (河出文庫 や 3-6 BUNGEI Collection) / 感想・レビュー
遥かなる想い
この小説をどう表現したらよいのか。描いている題材は、ごく日常的なものであるし、家族に劇的な事件がおこるわけではない。ウォーキングにいそしむ父はほほえましいし、姉妹の性格の違いもさしたる話でもない。ただ、やはり非日常の雰囲気を感じるのはどうしてなのか。この時代にひどく不思議な本である。
2010/09/05
新地学@児童書病発動中
姉が作家で、妹が詩人の四人家族の生活を描く小説。不思議な雰囲気を持っていて、現実の世界と夢の世界の境目がはっきりしない。カフカの小説に近いところがある。4人の生活を慈しむように描きながら、暴力的ともいえる異質な世界が時々挿入されて、ひやりとしたものを感じた。最後の夢のシーンが印象的で、読んだ後に考え込んでしまった。
2014/08/15
メタボン
☆☆☆★ 不思議な読み応えの小説だと思ったら、解説にあるとおり、作中人物の語りの視点の揺れ、移動なのだと知った。可李子だけが呼び捨てだったのは、この小説が可李子自身が書いていることも想定できる。三島賞受賞作品。
2021/12/28
じゃすぽ
江國さんの本棚からピックアップ。すでにタイトルから江國さんの作品に影響を与えたであろう片鱗が見える。浮世離れした一家のふわふわした話。それ以上の情報は入ってこなかったなぁ。どの辺が三島賞受賞のポイントなのか。 自分の読解力のなさは相変わらずだと再認識しただけだった…
2017/12/05
六月の真昼
ときどき、鱈子さんの夢が語られるのだけれど、その夢が、どこか現実とつながっているみたいで、こわい。というか、現実のほうが、夢に接近しつつあるような感じで、ますます、こわい。というか、夢も、うつつも、あいまいで、ここでもないここで、玲瓏としていて、いよいよ、こわいまま、読み終えた。
2014/05/17
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