KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

サイゴン・ピックアップ (河出文庫 ふ 4-3 BUNGEI Collection)

サイゴン・ピックアップ (河出文庫 ふ 4-3 BUNGEI Collection)

サイゴン・ピックアップ (河出文庫 ふ 4-3 BUNGEI Collection)

作家
藤沢周
出版社
河出書房新社
発売日
1999-02-01
ISBN
9784309405643
amazonで購入する

サイゴン・ピックアップ (河出文庫 ふ 4-3 BUNGEI Collection) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

hit4papa

女に騙されて自己破産をした挙句寺に逃げ込んだ男は、修行僧としての日々を送ります。俗にまみれにまみれた個性的な修行僧たちの人間模様が面白いですね。高邁な精神生活とは程遠い敗北感、底辺感が全編を通して漂っています。鬱屈した思いがドロドロと溢れて出てくるようなシーンが満載で、腹に一物持った人間の、汚い部分を見せつけられたような気分です。暴力的な部分を含めて暗黒小説の趣がありますね。取り立て屋に追い立てられている主人公が、どのような運命を辿るのか興味津々で読み進めることになります。謎めいたラストが好みです。

2022/02/11

harass

借金から逃げるために修行僧になった主人公は托鉢にでても服を着替えて買う飲むをして過ごしていた。そんな修行僧仲間の一人が自殺未遂を犯すのだが…… 三つの連作短編を集めたもの。展開がまったく読めなくてオフビートな展開が海外のインディペンデント映画のようだった。ただしテーマがハッキリしないのが残念。また、この作家は行き詰まった中年男のような鬱屈した話ばかり書く作家で笑いもなく、読むのが苦痛に感じていたがこれくらい非日常の題材だとずいぶん面白く感じた。調べてみると芥川賞候補作品だったようだ。次作で受賞したらしい。

2013/06/20

sibafu

「サイゴン・ピックアップ」、「白ナイル」、「ベナレス・クロス」の三篇収録ですべて繋がっている話。意味と内容との関連性がよくわからないけど惹かれるタイトル。俗世間から逃げて寺に入った新人坊さんが主人公。坊さんでありながら内面はいつもの藤沢作品の人物らしく俗っぽくて尖っている。でも、周りは仏教的で本気で悟りを開くことを目的としたような環境、そして文体。妄想混じりで進むのでストーリーの理解がちょっと難しい。でも、仏教世界と90年代の現代日本文化の混ざり合った世界観は独特でクセになる。悟り=諦め……?

2013/06/05

Ichiro Toda

去年のだいたい同じ時期に読んで妙に印象に残っていたので文庫にて再読。仏教の話で、妙に俗っぽい坊さんがでまくっていますが、なんなんでしょうねこの爽快感とはいえなくもないような読後感。ただ仏教の素養がないため、結局何を言いたいのかはあんまり良くわからないというか、僧×バイオレンスのカップリングが珍しいという感じで終わってしまうのも事実で少し悲しい気分になる。結局、表面をなぞるだけで終わってしまうわけだけど、なんか印象に残ってしまうのであった。舞台が地元っていうのもあるのだけれどね。

2016/05/09

...

仏教と俗の混ざり方が新しい。いま読んでも実に斬新だ。世界観は独特で痺れるが地雷、黒い竜、紫の煙などのメタファー、または各キャラクターの設定などに熟れていない部分もあって帯にある傑作、とは言い切れない。傑作は「箱崎ジャンクション」でしょう。

2014/07/07

感想・レビューをもっと見る