刺青 (河出文庫 ふ 4-4 BUNGEI Collection)
刺青 (河出文庫 ふ 4-4 BUNGEI Collection) / 感想・レビュー
hit4papa
刺青を彫って欲しいと彫り師の元を訪ねてきた18歳の少女。少女の肌に魅せられる彫り師。読み進めると、少女が刺青を入れるわけが分かってきます。所々に挿入されるシーンは、少女と少女が嫌悪する男とのグロテスクで、生々しく不快な行為。刺青は、男から自身を守ろうとする意思であり、金原ひとみ「蛇にピアス」に通じる鎧です。少女の自死した姉、精神を病んだ母親の何故、が判明してどんより。彫り師の感情も徐々に乱れ、そして…。アンダーグラウンド感漂う、肉体的にも精神的にも痛さ・イタさを感じる作品です。オチがないのが残念。
2022/01/30
harass
有名な作品と同じ題名だがいれずみという。刺青師に突然現れた少女は自分に刺青を彫ってくれと懇願するが…… 特に感慨を得ること無く読み終えてしまった。もともとこの作家のスタイルとしてシーンの積み重ねでイメージを盛り上げていく手法があるがこの作品は自分はピンと来なかった。個人的に登場人物たちを「ノワールもの」のステロタイプに感じて冷めてしまったせいかと。
2013/05/31
sibafu
96年頃に書かれた中編。近親相姦、姉が亡くなったことでおかしくなり妹と姉を混同しがちな母親、家庭崩壊寸前。ここまでありがちな状況だが、現状打破のために妹のアヤがとった行動は背中に刺青を彫ること。この発想は凄い。そして、全体的にやはり尖っている。同じく河出文庫で同時期の三篇を集めた『サトーリ』に近い。彫り士の刺青屋がスラムのような歌舞伎町のような土地にあり、多国籍的でサイバーパンクなSFっぽくもある。背中に大きく彫る観世音といい、奇妙に文章に混ざる仏教用語が良い味を出している。病的な世界観に価値あり。
2013/09/07
あべこべらぼう
彫りもんは芸術でしょ?っていったら鼻で笑われちまうかな。 アンダーグラウンドな緊張感とハードコアな臭気。若い肌に香る花露。エッジの効いた連想ゲームが鏡と虹彩を行き来する刺激的な作品。
2020/05/05
sun
独特の世界観。うなるのみ。
2014/06/03
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