ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫 ふ 4-5 BUNGEI Collection)
ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫 ふ 4-5 BUNGEI Collection) / 感想・レビュー
absinthe
『ブエノスアイレス午前零時』ブエノスアイレスの記憶と混濁した老婆と、老人のダンス会を醜悪なものとして見つめていた青年。どこか汚いもの、を連想させる描写が続き、それと対比するかのようにラストのダンスを盛り上げる。二人の最後のダンスの美しこと。なるほど、文学はこうあるべき。『屋上』都会って孤独なんだな。青年と純朴そうなポニーと対比が面白い。2作品ともなんだか孤独なお話だ。
2021/05/04
kaizen@名古屋de朝活読書会
【芥川賞】"Buenos Aires hora cero" by Piazzollaを聴きながら読んでみました。日本の雪国の温泉街とブエノスアイレスがどう結びつくか。アルゼンチンには行ったことがないが、何度か行く計画を立てたことがある。スペイン語、タンゴ、ピアソラも明るいから好き。午前零時に何が起きる。この暗さは何。まだ未消化。
2014/03/25
ヴェネツィア
1998年上半期、芥川賞受賞作。ちなみに、この時は花村萬月『ゲルマニウムの夜』との同時受賞。タイトルはピアソラの曲名から。物語中でブエノスアイレスは老嬢ミツコの回想、あるいは幻想の中の街。舞台は新潟県と福島県の県境に位置する雪深い温泉町。作者の故郷でもあるようだ。ただし、私小説ではない。読者の共感性はしいて言えば、主人公のカザマに寄せられるのだろうが、それにしては万事に醒めていて、人を寄せ付けないようなところもある。この土地の持つ閉塞感に息苦しくなるような作品だ。
2013/06/03
遥かなる想い
第119回(平成10年度上半期)芥川賞受賞作品。老嬢と青年の孤独なタンゴにまずついていけなかった。文体は抒情的な雰囲気があり、作風はたぶん好きだとは 思うが、設定についていけなかった。温泉宿とブエノスアイレス、疲れた青年と盲目の老嬢の交流などを想起できるほどの想像力は私には残念ながら持っていなかった
うののささら
ブエノスアイレスというタイトルで読んでみたが、アルゼンチンの人のことはなにもなかった。昭和の雰囲気漂う雪深い温泉のダンスホール。横浜で働いてた元娼婦は過去と現在が入り混じる。今いるとこがわからなくブエノスアイレスの風景が頭によぎる。痴呆症の話。当時は痴呆症が問題になりはじめのときかな。芥川賞らしく逃れられない日常をたんたんと描いている。若干難しかった。
2023/09/10
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