サド侯爵 あるいは城と牢獄 (河出文庫)
サド侯爵 あるいは城と牢獄 (河出文庫) / 感想・レビュー
優希
澁澤のエッセンスのつまった1冊といえるでしょう。城と牢獄が象徴する世界を突き詰めて、現代的な視点で解き明かすのは澁澤ならではのアプローチだと思います。サドの思想と思想からの事件が論じられているのが興味深いところでした。ボルヘスやコクトー、稲垣足穂などの東西の芸術論からも近親相姦や翻訳についてなどを独自の視点で述べています。全体的に魅惑と禁忌の世界観が漂っているように感じました。
2016/09/29
sigismund
その過激さゆえに色眼鏡で見られがちなサド侯爵。そんなサドの思想家的な一面を取り上げて論ずる。百科全書派に代表される18世紀哲学を吸収しながらも、創作活動によって突き抜けた論理性で情熱へと至ったサドは18世紀の思潮から完全に切り離され「異端」となる。滔々とサドの内面を掘り下げた評論のほか、ゼノンのパラドクスとボルヘスの思考ゲームめいた評論、魅力的な近親相姦論、ヴィスコンティの映画評など、澁澤のエッセンスが詰め込まれている。
2016/03/15
ぐうぐう
牢獄に閉じ込められ、身体的自由を拘束されたからこそ、サドの文学者としての才能が開花していくという逆説。牢獄の中で想像力という内的な城を築き上げていくサドへの、澁澤の共感がとても素直に理解できる。
2009/02/23
Gimmikc
城と牢獄に代表される隔絶された空間は澁澤伝統の特殊空間のアイデアで、常に空間を捉えるキーワードになっていますね。
2016/05/27
のなん
読むべき本が増えてしまった。
2015/01/05
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