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次の町まで、きみはどんな歌をうたうの? (河出文庫)

次の町まで、きみはどんな歌をうたうの? (河出文庫)

次の町まで、きみはどんな歌をうたうの? (河出文庫)

作家
柴崎友香
出版社
河出書房新社
発売日
2006-03-04
ISBN
9784309407869
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次の町まで、きみはどんな歌をうたうの? (河出文庫) / 感想・レビュー

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さてさて

『かっこええやろ』、『べつにふつう』、『サインしよか。今度持ってきいや』、『ええわ。美しい思い出が汚される感じする』、『なんやねん。おれが撮った写真やんけ』。生きた関西弁のやり取りが物語を絶妙に彩っていくこの作品。そこには何も起こらないようでいて四人のドラマが確かに刻まれていく中に一つの物語が描かれていました。ほんわかとした雰囲気感が物語を包み込むこの作品。限られた時間、限られた空間の物語の外にもさまざまな情景が思い浮かびもするこの作品。その場所を見事に映像化していく柴崎さんの真骨頂とも言える作品でした。

2023/02/15

hiro

表題作は柴崎さんの作品で一番好きな、大学院へ進学する友人の引っ越し祝いに集まった仲間達を描いた『きょうのできごと』に似た作品。大阪からディズニーランドへ誕生日ツアーにでかける恋人同士の車に便乗した、主人公を含む四人の道中を中心に描いた作品。いつものように、途中に大きな事件が起こるわけでもない若者四人の旅だが、読んでいて大変気持ちの良くなる。これが柴崎さんの小説の不思議な魅力だ。もう一編は、すぐに眠ってしまう大阪の女子大学生のすこし不思議な作品。

2019/04/13

なゆ

失恋にまつわる、ふたつの話。表題作のこのタイトルが、想像力をかきたてる。意外にも、友だちカップルの車に強引に便乗しての、大阪からディズニーランドへのドライブ。柴崎さんにしては、語り手の望くんが自分勝手でワガママ三昧という濃いめなキャラなせいか読みやすい。というか望の言動にムカついてるうちに読み終えてしまう。コロ助、災難だな。でも真夜中のSAでのルリちゃんとの時間の見えるもの聞こえる音、そういう描写がやっぱりいい。「エブリバディ…」は眠り病みたいな女子大生の工藤さんの二週間。結局気持ちよく眠るんかーい(笑)

2019/08/26

翔亀

初期短編二作。佳品。柴崎さんらしい、ささやかだが鮮やかな仲間達の一断面が、ほんの少しの痛みを伴いながら美しく語られる。本二作は主人公の造形が特徴的なので解りやすく、その分、読後感が爽やかだ。表題作は写真や音楽や研究の才能があるが大学卒業後モラトリアム状態にいる語り手の望(男)を中心とした、男三人女一人のロードームービ。喧嘩しながら仲の良い「仲間感覚」が秀逸。併録の「エブリバディ-」は、眠り病とでもいうべき昼間でも何時間も眠ってしまう女子学生の<わたし>が、失恋により陥った半年間もの眠りから立ち直る話。↓

2014/10/09

絹恵

眠っても、眠っても、見たい夢は見られなかったから醒ましてみると、ただきみのいない現実が変わらずに佇んでいただけでした。眠らない夢をみるにはどうすればいいのだろう。別れ別れになる道を知っているから、もううたを頼りに歩いて行くことは出来ません。でも何でもない会話を重ねられたことは特別で、そんな小さな特別を重ねながら、夢に出逢い別れ向かう旅の途中を楽しみたいです。

2014/09/29

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