妖人奇人館 (河出文庫)
妖人奇人館 (河出文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
全部で13篇のショート・エッセイが収録されているが、発表誌(別冊小説現代)の読者層を意識して、軽妙で読みやすいものになっている。いわば澁澤入門といった趣きだ。したがって、ぺダントリーも適度に抑えられていて、出典等にまでは言及しておらず、この点でややもの足りない気もする。一方、他ではあまり見ない題材もある。例えば、『O嬢の物語』を地でいくようなサー・フランシス・ダッシュウッドの「地獄の火クラブ」や、女装外交官の騎士デオンの話など、連載の初め頃のものは、著者の意気込みもあってか、新鮮なエピソードが多いようだ。
2013/04/16
匠
妖人奇人とはいえフェティシズムから数々の幅広く奥深い性倒錯や趣味の領域は、筆者も後半で書いておられるが一歩間違えば誰でも「性倒錯者」になる可能性があるというのは深く共感する部分だった。その中でも切り裂きジャックやシュヴァリエ・デオン、ラスプーチンやカリオストロなど歴史上に残る際立った人達12人ほどをピックアップ。比較的わかりやすい文章で楽しく読めるのだが、深く掘り下げてはいないので、興味を持てた人物がいたら個人個人でその領域の本を探してみるのも良いと思う。そのためにもできたら出典ページは欲しかった。
2014/03/26
kinkin
ラスプーチン、切り裂きジャック、ノストラダムスをはじめタイトル通りの妖人奇人たちが著者独特の語り口で綴られておりつい読みふけってしまった。ノストラダムスの有名な予言詩に触れているなかで、1999年は29年後と書あり1970年に書かれたことを知った。当時はまだノストラダムスブーム前ではなかったか、やはり澁澤龍彦氏だ。妖人奇人、昔はネットもない時代で情報が少なかったぶんミステリアスで妖しさはずっと大きかったと感じた。
2016/04/14
たぬ
☆4 重い本が続いたので鼻歌まじりでも読めるものをチョイス。やはりラスプーチンの殺しても殺してもなかなか死なない度はインパクトあるなあ。切り裂きジャック、ノストラダムス、パラケルスス等有名どころでも初めて知るエピソードがあって楽しめた。表紙の絵(『ベリー侯の時禱書』より)はベルセルクみがあっていいな。うねうねした細かい書き込みが吐き気を催すけど。文体も好み。
2023/08/30
こばまり
なつかし【再読】。カリオストロやノストラダムスなど、主に西洋のべらぼうな人達の人物伝。ネットなどなかった当時、ドキドキして読んだ記憶があります。初出はもっと遡って1969年の雑誌連載。今や澁澤龍彦その人も妖人奇人の仲間入り。
2013/12/29
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