幸福は永遠に女だけのものだ (河出文庫)
幸福は永遠に女だけのものだ (河出文庫) / 感想・レビュー
匠
澁澤流女性的原理についてを中心にしたエッセイ集で、一見堅苦しさのある文章の中でも必ず軽妙に語られる部分があり、そこがまためちゃくちゃ面白かった。特に「Ⅰ」での処女と娼婦の共通点には目からウロコだったし、女性の下着に関してのエッセイにはクスクス笑い。「Ⅱ」ではカトリーヌ・ドヌーヴの印象に深く共感したしモンロー神話の分析も興味深かった。だが「Ⅲ」での肝心の表題についての記述には残念ながら共感できなかった。なんせ1967年の刊行なのだから無理もないかも。でも未来に対しての予想は当たってる部分が幾つもあった。
2014/03/13
いりあ
澁澤龍彥のエロスに関連するエッセイをまとめた作品集です。女性的原理について論じた表題作をはじめ、ホモ・セクシャリズムやフェティシズム、オナニズムを語る"異常性愛論"、有名女優をめぐる考察"モンロー神話の分析"等、29編も収録されています。どの作品を読んでも感じるのですが、博識ぶり、先見の明にはいつも驚かされます。とても敷居の高い作家のように思われますが、軽妙な書きぶり、茶目っ気のある文章にあっという間に読めてしまいます。ここに記されていることを100%理解するには、読み手側ももっと努力しないと。
2014/12/06
キョートマン
「男の場合は、「男の生き甲斐」という。これなら男らしく立派だ。生き甲斐とは、多分に効用的な考え方であって、少しぐらい苦しくても、自分の意志で無理して幸福だと信じこむ。そう考えなければ損だと思う。」(p.163)←ここすき
2021/10/05
マッキー
「地震とは地球の発情によって生じる現象だそうだ」、深いですね。「性」と「生」をめぐるエピソードが思う存分楽しめる。でも公共の場所では読みづらい。
2016/09/19
Royalblue
前半は女性を引き合いにエロティシズムについて書かれたエッセイ集。澁澤の性的表現は、恍惚と少年的な滑稽さの往復であり、いかにも世俗的な猥褻まで行き着かないところに非常に好感を持てる。湿り気のないクールでドライなエロス。中盤からはいよいよこの法外にも秀逸を極めた表題作が始まる。エロ描写から女性幸福論へと一転して、「女に生まれたことが、幸福の第一歩なのである」(p164)と、カッコいい本。
2016/01/27
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