裸婦の中の裸婦 (河出文庫 し 1-50)
裸婦の中の裸婦 (河出文庫 し 1-50) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
西洋美術の歴史の中では、古代ギリシャの彫刻から現代絵画に至るまで、これまでに膨大な数の裸婦像が表現されてきた。そうした中から選りすぐりの、これぞ「裸婦の中の裸婦」12点が取り上げられ、対話スタイルで語られる。選者は澁澤龍彦なので、裸婦といった時にいかにも選ばれそうなのはアングルの「トルコ風呂」くらいで、それ以外は澁澤御大のお眼鏡にかなったものが精選されている。中で最も澁澤好みなのは、クラナッハかと思われる。一方、百武兼行にいたっては私には初めて聞く画家だ。また、エロティシズムという点では、ニュートンか。
2018/04/04
YM
12の裸婦画を対話形式で紹介していく本書。当然ながら読む前と読んだ後で、裸婦の印象が違うんだなあ。個人的には「水浴する女」の裸で戯れてるのに全然キャピキャピしてない不穏な感じ、自由を制限されてるような感じと、「うしろ向きの女」の艶かしいミカエルの菱形がエロティックでいいな。「幼虫としての女」のほっぺが赤くてかわいらしい。
2014/12/27
メタボン
☆☆☆☆ 官能的な作品ばかり展示されている展覧会で絵を前にしながら知的で少しエロティックな会話を楽しみながら歩いているような気分。特にそのディアローグの相手がちょっとクールな美女という設定が萌えてしまう。さすが澁澤の晩年の連載にて良作。澁澤の闘病により、その連載を3回だけ引き継ぐことになった巌谷國士も、立派にその代役を果たしている。ちょっと体型が異常に見えるクラナッハやバルチュスの裸婦が印象的。ウェヌス(ビーナス)の主題が多い。ベラスケスのウェヌスの腰に表れる「ミカエルの菱形」が艶めかしい。
2020/03/01
マリリン
澁澤氏が選んだ12の裸婦について、対談形式で語り合っている。10~12の作品については澁澤氏が巌谷氏に託し対談が続く。最初にカラー写真もあり読みながら写真も見るという楽しい読書になった。裸婦の作品ではニュートンの「デカタンな女」が良かった。対談で面白かったのは「両性具有の女」。本書に登場する大江健三郎の「性的人間」も手元にあるが、間を置いて読んでみよう。
2018/08/19
A.T
バルチュス、クラナッハ、ブロンツィーノ、ワットー、ヘルムート・ニュートン、デルボー、四谷シモン、アングル…など世界中に散らばっている裸婦 ヌードを描いた絵画、写真、人形作品を好みで集めて鑑賞する…澁澤龍彦キュレーションの紙上絵画展。セレクトが個人的にハマりました。制作意図が隠されたところにあるので、確かに額縁に入れて飾っておける作品ばかり。でも紐解きには小声で阿吽のやりとりを要するためでしょうか、鑑賞するツボを対話形式で究極の核心は察する仕組みです。
2018/02/04
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