泣かない女はいない (河出文庫 な 23-1)
泣かない女はいない (河出文庫 な 23-1) / 感想・レビュー
巨峰
女性を主人公にした2つの短編。ちょうど20年近く前、世紀が変わった頃のお話ですが、作者が同年代ということもあり、なかなか懐かしく親しみ安さを感じました。男性作家が女性を主人公に書くのはなかなか困難と思うけど、上手く行ってるんじゃなあかとおもった。けど、女性読者の感想も読んでみたい。表題作は片思いの話でもあり、ちいさな恋の話でした。もう一つは、夫婦生活が旦那の裏切りの発覚をきっかけとして終わりを迎えた女性の話。生き方の話でもある
2021/05/29
hit4papa
さしたる志もなく大手企業の下請け会社の事務職員として勤め始めた女性の物語です。仕事をするうちに彼女は職場を好きになり、先輩男性社員にも惹かれていきます。同棲相手がいながらも、恋する気持ちを止められない。どこにでもある日常のさざ波が、殊更深刻になるわけでもなく描かれています。可笑しさの中にちょっとした寂しさや涙が見え隠れする作品です
抹茶モナカ
2000年前後を舞台にした中篇2作収録。著者と比較的年齢が近いのもあり、登場する小道具なんかが懐かしかったり、切り取られた社会背景が懐かしかったり、大いに共感した。2作とも音楽が鳴っている小説で、読んでいると、自分の愛好する音楽を聴きたくなった。ただ、ここまで時代性が強いと、普遍性の点はどうなのか、文学性はどうなのか、ストライク・ゾーンが狭すぎる気もした。
2016/08/12
アマニョッキ
もう何回も読んでいるけど、何回でも読みたくなる。そして毎回違うところに心をなでられる。「ずっとここで君を見下ろしていたなあ」「ずっとみあげていました」 登録1100冊目。
2019/06/27
masa
マイノリティが集まると相変異する。読書はマイノリティの文化だ。本を熱心に読む友人が周囲に沢山いるか。いまい。読メにはそんなマイノリティが集まる。そこで繰り広げられる面白くないと正直に感想を書く俺TUEEE感。目にすると共感性羞恥で疲れる。だが、この集団内で謎の俺TUEEE感はマジョリティだ。マイノリティは日常の反体制意識から排他や暴力を自らに許容し、同朋内で逆に強烈なマジョリティ化する。ジェンダーも右翼も左翼も同様だ。そうした違和感で集団を微分していくと、やがて自分が残る。我々は連帯しながら断絶している。
2021/01/09
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