異端の肖像 新装新版 (河出文庫 し 1-3)
異端の肖像 新装新版 (河出文庫 し 1-3) / 感想・レビュー
歩月るな
『東西不思議物語』の前口上に澁澤は「不思議を楽しむ精神とは、おそらく、いつまでも若々しさを失わない精神の別名ではなかろうか。」と書いていたが、やはりあの言葉が印象的だったのは、例えばこの書に出てくる人物たちが「子どもらしさ」を失わないまま生きていた事を強い語調で感じるからだろう。ジルドレやルドヴィヒ二世のような。そしてサン・ジュストの項におけるテロリズムの正当化には悩まされ。サドとジュストが学生時代の枕頭の書であった澁澤。彼にとっても「読んでて自分でも恥ずかしくなる古い文章」である事も念頭においておこう。
2015/12/23
Royalblue
あまり聞き慣れない人物を取り上げた異端人紹介本。とりわけ印象的であったゲオルギイ・グルジエフは、自身が弟子の一人であるウスペンスキーに語った学説、「中心(センター)」という観念は非常に興味深い。概要は人間的本質は七つの核から構成されるといった観念で、その上部を占める二つは潜在意識の中核なのではないかと考えた。人体数多の細胞のうち、扱われていない潜在的能力への言及なのだろうか。グルジェフの学説をもっと知りたいと思った。
2016/01/15
Melody_Nelson
学生の頃、グルジェフについて少し興味を持っていたことを思い出した。映画「注目すべき人々との出会い」見たなー。今回本書を読んで、こんな人だったんだ…と、改めて知る。彼の著作も読んでみたいが、難解とのことなので無理。 この他に、ジル・ド・レ、ヘリオガバルスなど、異常な残虐性をもった人々が紹介されている。とりあえず、サン・ジュストに関する本と「失われし時を求めて」はいつか読まねば。
2019/07/22
ハルバル
澁澤偏愛の異端者列伝。時代からはみ出し、自分の感性にのみ溺れる彼らの人生は痛ましく滑稽だが、王候貴族ブルジョアの退廃と蕩尽にはついていけないなと感じた。愚か者に富と怠惰を与えるとさらに腐る。とはいえそういった教訓的読み方は著者の本意ではないだろうが。ほぼ全員ナルシストかホモ(またはその両方笑)なんだが、自分はナルシスト大嫌いなもんで。読んでる分には面白いが、どうも澁澤さんの退廃賛美が合わない。そもそも退廃に意味性を与えること自体が無意味だろう。この中では革命の大天使と大量殺人者とバベルの隠遁者が好き
2014/05/07
SKH
ヨーロッパ史に名を残す異端者伝。モンテスキウの項にある「時流に取り残された古風な趣味人」というフレーズが印象的。199X。
2013/04/01
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