猫道楽 (河出文庫 な 7-32)
猫道楽 (河出文庫 な 7-32) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
タイトルからも表紙の絵からも、てっきり猫のお話かと思っていたら、実はゲイ・セックスの連作短編集だった。猫はここで、ゲストと<猫飼亭>の3人のゲイ兄弟との仲介役を果たしているのである。ただし、そこで描かれるのは本当のゲイではなく、あくまでも女性作家の想像の中で美化され、紡ぎだされたゲイの物語である。つまり、ソフィスティケイテドされたボーイズラヴの世界といったところだ。誘発される「欲情」や、そこで描かれる具体的な行為も、ヘテロ間でなければ生々しさがなく幻想的な美しさと受け止められるのだろうか。
2013/08/20
匠
長野作品が好きな妹に以前から薦められてたので読んでみたのだが、なんともう~ん。正直なところゲイの僕からするとツッコミどころ満載で。古風な隠語を使って妄想を搔き立てるような書き方はしてあっても軽い表面だけで奥行きはなく、普段BL小説を読み慣れてる人でもそのあたり含めて賛否が分かれそう。もちろん、耽美な世界を寓話的に描かれたものなのだと理解はしているが、ならばもっと耽美を掘り下げて欲しかった。わずかながら感情移入できたのは最後の星と一郎の話くらい。申し訳ないけれど個人的に消化不良な読後感は否めなかった。
2014/02/06
ぶち
夢と現の境目があやふやになる雰囲気の小説です。猫シッターのアルバイトで、主人公は“猫飼亭”なる屋敷を訪れます。土蔵造りの建物に洋風な内装。膝の上に灰色の猫をのせ、喉を撫でつつ煙管を使う若い男。この屋敷を訪れる者は、猫の世話をするつもりが、「猫」にされてしまい、不思議な世界を覗くことになります。 そんなある種の "極楽" を味わうような短編が4つ。どのお話もじんわりと心に染みるような、ちょっと切なくなるような物語でした。
2019/04/04
優希
美しい情景と耽美な世界に魅せられます。猫シッターのバイトで訪れた「猫飼亭」での極楽の世界観は幻想と現実の曖昧さがあり、独特の香りを漂わせていました。美少年兄弟の秘密や惹かれるように訪れる人々が織りなす不思議さが綺麗な情景に映えます。美しい色気と毒気のある雰囲気が素敵でした。
2015/11/16
mocha
ねこ本だと思って手に取ったので、とても衝撃を受けた。ねこシッターのアルバイトと聞かされた一朗くんが足を踏み入れてしまった〈猫飼亭〉の淫靡な世界。三兄弟には道楽だけでない思惑もあって・・。美しい道具立ては好きなんだけどな。せめて帯にBL小説だと明記してほしい。
2021/02/21
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