心理学化する社会 (河出文庫)
心理学化する社会 (河出文庫) / 感想・レビュー
マエダ
斎藤環氏のダークナイトへの考察は見ものである。考察一つ一つが面白い。
2019/11/25
ころこ
人の心を知りたいという欲望が、90年代以降になぜ強くなったのか。成熟社会は、内省的な自己像を求めました。「心理学化」はそこに、類型化、視覚化、表層化の技術を与えて、人々の欲望に応えます。ところが、心理が記述をつくるのではなく、記述が心理をつくるというように、「心理学化」は副作用ももたらします。著者は、医師としての自覚と責任において、言葉を選んで、慎重に議論をしています。本当のトラウマを持った患者は当然いて、救わなければならないのは言うまでもありません。ただし、記述からはじまる「イメージのトラウマ」は、じぶ
2019/08/09
たばかる
斎藤環2冊目。最近同行を追っている。映画で悪役に必ず描かれるようになったトラウマ背景、「わたし」の小さい心の傷を歌うのに広く共感されるポップ音楽、凶悪事件の犯人の背景を探ろうとする報道/呼ばれる心理学者•社会学者、これらを具体的にあげつつその内容や批判を吟味する。著者によれば①心を知りたい欲求は人にあるもの、かつ②メディアが先でなく人々の間で需要がもとからあった。③システム論的には、個人と世界の間にあるような中間的な層が近代化で崩れたため、それを補完しようとして自己を精神分析のパターンに埋め込むように→
2020/08/25
白義
最近読んだ心理学、精神医学関連では最大級の名著。サブカルから犯罪、日本の心理学史もたどりながら、心理学の言葉で社会問題や文化が語られる社会の心理学化を徹底批判。さらに、ゲーム脳に代表される脳科学ブームの危険性も指摘し、社会の心理学化の原因と、その先の倫理を哲学的に探求、と至れり尽くせりな本。視点もバランスが取れていて、安直なトラウマ批判や心理学の否定は一切していない。結論は東浩紀と似ていて、社会の中間領域、象徴界の機能不全がキーワード。心と社会が気になるテーマなら、いの一番に読むべき
2011/12/05
ちぃ
ドラマも映画もトラウマ大安売り。ワイドショーも専門家気取りが精神分析。もはや心理学は一種のブームでありエンタメである。トラウマ・AC大いに結構。でも、そうした現象に尾ひれがついて、誤解を受けやすくなっているのもたしか。。人は、不安定な状況も、説明さえできれば安心するし、媒介されることに快楽を覚える。なんでも可視化したい世代なのですかね。PSYCHO-PASSみたいな世界も、社会は(ひとりひとりの個人ではない)少し望んでるのかも。
2016/07/19
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