顔面考 (河出文庫 か 17-1)
顔面考 (河出文庫 か 17-1) / 感想・レビュー
ばんだねいっぺい
顔面とは、何かをひたすら、考察していく本。顔は、安心の拠り所でもあるし、不安の源泉でもある。薄氷を踏む思いで我々はいつもお互いの顔を読む。顔の下の顔を読む。
2020/04/07
やいっち
内容案内によると、「観相学、替え玉妄想、ドッペルゲンガー、生来性犯罪者、醜形恐怖、人面犬・人面疽、整形手術、マンガやミステリに描かれた顔」など、話題が豊富。「博覧強記の精神科医が、比類なき視座から綴ってみせた、前人未到の〈顔〉論にして、世紀の奇書」だとか。 世紀の奇書というのは、やや大げさという気がする。議論が深まらず、話題が多岐に渡り、話が総花的な印象が強い。 感想を改めて書く気になれない。
2018/01/28
猫丸
人を顔で判断するのは良くないことです。これについて考える。人となりが顔に表れるなどというのは幻想に過ぎないのだから、顔で判断してはダメですよ。こういう意味ならば、悪人顔や善人顔、犯罪者顔などというものが厳然として存在することが前提となる。その前提のもとで、見た目の判断を戒めるのだから。逆に、実は個人の内面は避けようもなく顔面に表れてしまう、その不可避性ゆえに、顔面の相をもってその人の本質を指摘するのは、いかにも不躾でないかという意味であるのかもしれない。いずれにせよ「人は顔次第」なる思想が伏在する。
2022/01/22
三柴ゆよし
自分の、または他人の顔に、まったく関心を払わずに生きている人が果たしているだろうか。ひとまず、いる、と仮定してみる。その場合、彼(あるいは彼女)は人を美醜でしか判断できない人間と、同程度に異常なのではないか。そんなことを考えた。本書において春日氏は、自己像幻視、人面瘡、狂人カルタ、顔面拷問など、顔にまつわるグロテスクかつキッチュな事物について、東西の資料を紐解きながら、また自身の医師体験に基く事例を挙げながら、自由に考察していく。名著である。漫画に描かれた狂気の類型化が特に面白い。視覚資料も豊富で楽しい。
2009/07/22
阿部義彦
精神科医の春日武彦さんの本、名前は知ってましたが著作を読むのは初めてでした。河出書房新社らしい題材ですね。職業柄顔にまつわる精神疾患(醜形恐怖症、ドッペルゲンガー、入れ替わり妄想)が興味深かったです。ソンディテストは他の本でも紹介されていて、例の本物の精神病者の顔写真は知っていましたが精神病者や犯罪者はそれなりの特有の顔があるという主張はかなり前近代的としか言えないでしょうね。正に人は見かけに依らないとしか言いようが無いでしょう。それぞれの章立てが面白く又文学的素養も豊富な労作だと思います。
2016/03/01
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