浮世でランチ (河出文庫 や 17-2)
浮世でランチ (河出文庫 や 17-2) / 感想・レビュー
散文の詞
まるでエッセイを読んでるような、不思議な魅力のある小説だ。 確かに、朝や夜の食事と違って、ランチは学校だったり、職場だったりと外で食べることが多い。 そういう意味では、特別な食事なんだろう。特に人と接することが苦手だと苦痛になるかもしれない。 そんな事考えたこともなかった。 それでも生きていかなければいけない。なんとか持ちこらえろと応援しながら読んだ。 それにしてもいいタイトルだな、これ。
2020/02/14
いたろう
著者の初期作。「人のセックスを笑うな」に続く2冊めの小説。人づきあいが苦手な25歳の丸山君枝が、会社を退職して、初めての海外旅行で訪れた東南アジア、タイ、マレーシア、そして、ミャンマー。そこに交錯する、中学2年、14歳の時、幼なじみの犬井幸太郎の家で、「宗教ゴッコ」をしていた、数少ない友人たち、犬井、タカソウ、鈴木くん、新田さんとの思い出。25歳の東南アジア旅行が、14歳の思い出とどう繋がるのか、なるほど、そう繋がるのかと思われたところで、全く予想外の繋がり方に驚かされるが、これはこれで良かったのだろう。
2024/08/18
dr2006
今見えているものは人によって違う。みんなが共有しているようなこの世界も、本当はそれぞれの人の側から見たら違って見えているはずだ。14歳の私と25歳の私が、代わる代わる自分の世界観を一人称で語る物語。私とは主人公の丸山君枝だ。14歳の私はいったい何を求めていたの?25歳になったら私はどうなっているのだろう?きっと浮世を楽しんでいるはず。いや、あの時がよっぽど浮世だったのかも。山崎さんの独特な描写に心の隅っこが喚起されて鳥肌が立つ。
2017/04/21
にいにい
初山崎ナオコーラさん。西加奈子さんの「炎上する君」という短編集に有名作家として登場されていたので、気になって読んでみた。不思議な面白さがある。構成の妙。14歳と25歳の主人公が同時に現存する巧みな進め方。主人公の人の評価を気にしない考え方好きだなぁ。協調性には欠け生きづらいだろうけど、犬井やタカソウの25歳も知りたかったな。生き方を再考するきっかけとなりそうな1冊かな?もう少し、ナオコーラさんを読んでみようと思えた。
2014/04/22
あんこ
わたしも25歳、会社の人と必要以上につるむことも、14歳のときに必要以上にベタベタするのが苦手だったから読んでいてびっくりした。今この時期に読んでよかった。決定的に何かが変わって楽になることなんてないのだろうけど、読み終わったら清々しい気分。しかしおしゃれな文章を書くんだなあ、ナオコーラさん。
2016/09/25
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