澁澤龍彦 西欧作家論集成 下 (河出文庫)
澁澤龍彦 西欧作家論集成 下 (河出文庫) / 感想・レビュー
マウリツィウス
【澁澤龍彦「西欧作家論」集成】マニエリスム系譜ではなくグスタフ・マイリンク以降の系譜を継いだ芸術論集成の一つ。澁澤源流とされる形式自体は誤りではないがグノーシス主義を内包した《ロマン主義》とは様相を異にする。シェイクスピア以降の正統派古典を最大限参照した唯美主義を否定する《ドイツ=ロマン派》をカフカ以上に一掃した流れを汲み、古典主義的構築網は逆転することを第一義とした澁澤龍彦でもある。ルーツ刷新を重んじた役割を完全否定するボルヘス正統論が澁澤を「最高の古典」として登録する完遂の歴史を紡ぎ出す残影の証明論。
2013/07/23
感想・レビューをもっと見る